Gourmet

愛でる、桜の美
食べる「ハコジュレ」

また、その時季がやってくる。春を告げる淡いピンクの花が咲く。桜の開花が待ち遠しい。古来、桜は日本人の美意識の象徴として特別な存在。平安時代前期に編纂された古今和歌集でも「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春のこころは のどけからまし(在原業平)」と詠まれたように、桜があればこそ、春は心が落ち着かないほど浮き立つ。

同時に桜は喜びや楽しみだけではなく、移ろう時の切なさや、もののあはれ、といった複雑な感情もかき立てる。

ハコジュレ

パティシエールのカレン・ソウ氏が立ち上げたアトリエ『and so on』が手がける「ハコジュレ」のシリーズ。春の新作限定品は「桜流し」。咲き競う桜の花びらを雨が散らして、川面を染めて流れゆく様を表現している。

桜あん・桜花の塩漬け・桜リキュール・白イチゴ・アガー(植物性のゼリーの素)を食材に、見て美しく、食べて美味しく、桜の美学を凝縮したデザートジュレ、と評しても過ぎた言葉ではないだろう。

桜には「精神の美」「優美な女性」「私を忘れないで」などの花言葉がある。忘れるものですか。この、アートのようなハコジュレを。

『and so on』ではこれまでに「薬膳・金柑」「深紅」などのハコジュレを創作してきた。「桜流し」は、今年4月中旬頃までの限定品。水ようかんと桜ジュレの冷涼な食感と、桜花の塩漬けと桜リキュールの和洋コラボも斬新。

750g 3,888円(税込)ご購入はオンラインストアから。

写真・大志摩 徹 文・品川雅彦

*掲載情報は2022年4月号掲載時点のものです。

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