京の朝食
写真・木村有希 文・西本遥菜(アリカ)
京都は、洗練された芸術や文化が受け継がれるなど、パリと共通点が多い街だと言われる。そんなパリのパン文化を、いち早く京都の食卓に根付かせたベーカリーが『進々堂』だ。創業者の続木斉はクリスチャン。「パンづくりを通して神と人とに奉仕する」との想いから1913年(大正2年)に店を開いた。
店名も新約聖書の一節にゆかりがあるという。1924年、製パン技術習得のために日本人として初めてフランスに留学した際、パリで出合ったバゲットのパリッとした食感や深い香りに衝撃を受け、帰国後はその味を広めるべく尽力した。パンの消費量がしばしば全国1位になるほどの「パン好きの街・京都」のルーツは彼なのかもしれない。
現在では地元で親しまれるベーカリーとして市内に12店舗を展開する『進々堂』の中でも三条河原町店は、京都有数の繁華街エリアに立地する。地元客はもちろん、周辺ホテルに宿泊する観光客の朝食にも使い勝手が良く、重宝されている。
朝メニューの「スープブレックファーストセット」は、ブリオッシュやうぐいす豆フランスなど約10種類から選んだパンがサーブされ、おかわりは何度でも。そこにスープとドリンクが付く。
4種類から選べるスープは「パンに合う味」を意識して作られ、「オニオングラタンスープ」はしっかりとしたブイヨンの旨みに胡椒が利き、自然とパンに手が伸びてしまう味わいだ。たっぷり入った飴色の玉ねぎと、スープを含み軟らかくなった薄切りのバゲットの上からとろりと溶けたグリュイエールチーズが絡みつき、幸せなハーモニーを奏でる。
創業から110年以上が経った現在も、パンづくりは手作業を重視。製パン機械も導入されているが、それはあくまで「手助け」で、パンの成形など味に直結する大事な工程は職人の手で行っている。中でもバゲットは現在も全工程手作業で作られ、『進々堂』のポリシーがひときわ感じられる。
噛むほどに口の中で広がる素朴な小麦の味は、毎朝でも食べたいと思わせる。また、併設のショップで一番人気というクロワッサン・オ・ブールも、発酵バターの豊かな風味とふわりと軽い食感が絶妙で、シンプルだからこそ同店の実力が感じられる一品だ。
京都市内のみに店を構えるのは、「パンの鮮度を妥協したくないから」とマネージャーの樋上雄哉さん。出店も工場出荷時の鮮度が維持できる範囲に限定しているという。京都のみで出合える「地元の味」をぜひ現地で堪能したい。
進々堂 三条河原町店
京都市中京区中島町74『ザ ロイヤルパークホテル 京都三条』1階
電話:075-241-1179
営業時間:レストラン7:30~19:00(L.O.)
定休日:なし
「スープブレックファーストセット/オニオングラタンスープ」
1,500円(税込)
*掲載情報は2023年10月号掲載時点のものです。
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西本遥菜(アリカ)さんが綴るコラム【京の朝食】。今回は「職人の手で110年守り継がれる京のパンの味」。