京都肉三昧

精肉店直営の料理店で極みの和牛と出合う

写真・伊藤 信 文・白木麻紀子(アリカ)

牛肉をこよなく愛する京都の食通の間で、「大西さん」と親しまれる精肉店がある。1953年(昭和28年)創業の『銀閣寺 大西』だ。その名のとおり、銀閣寺の近くに本店を構え、京都市内を中心に約20店舗を展開。小売りだけでなく、名だたる料亭やホテル、飲食店に肉を卸し、プロの料理人から厚い信頼を集めている。

『御肉処 銀閣寺大にし』は、同店が初めて直営する肉料理の専門店。取引先だった焼肉店が閉店することになり、その後を引き継ぐ形で、2012年(平成24年)にオープン。古い茶舗や画廊が並ぶ寺町通の景観に溶け込む町家で、極上の牛肉がじっくり味わえると、知る人ぞ知る一軒となっている。「本業はあくまで精肉店。この『御肉処』は、和牛のおいしさを知っていただくための広報的な役割を担うと考えています」とマネージャーの高山勇生さん。

ここでは、焼肉を中心に、ステーキや煮込み、握り寿司など、ジャンルを問わず、その肉や部位をもっともおいしく味わうためのメニューがそろう。「京都人はサシが入ったやわらかくて旨みの多い肉を好みます。よい肉ならサシ入りが当然とおっしゃる方も。部位ならサーロインとシャトーブリアンが特に人気があります。素材のよさを確かめるように、表面を炙る程度で肉そのものの味を楽しむ方が多いですね」。

御肉処 銀閣寺大にし

こちらでは、『銀閣寺 大西』が一頭買いで仕入れたこだわりの和牛の中でも、さらに選りすぐったもののみを提供している。とりわけ常連客がわざわざその肉を目当てに予約する二大人気が、それぞれ長野と京都で育てられた稀少なブランド牛だ。

まず、長野県・村沢牧場の村沢牛。肉質がやわらかい雌牛をストレスがかからないよう畳の上で育成し、年間の出荷はわずか80頭程度のため、“幻の和牛”とも呼ばれている。軽く焼き目をつけて口に運べば、噛めば噛むほど濃厚な旨みが広がり、とりわけ赤身からは奥深いコクが。ほどよく入ったサシの脂は甘みがあり、キレよく上品に溶け、思わずもう一口と箸が止まらなくなる。

一方、京都府・丹波牧場の平井牛は、人の体温で溶けるほど融点の低い脂が特徴。その上質な霜降り肉をつくるため、約35か月と通常より半年ほど長く飼育された黒毛和牛だ。カタやモモの赤身ですらきめ細かなサシが入っており、とろけるような口当たりが忘れられない味に。

京都には、肉の目利きによる、やわらかで旨みあふれる極みの和牛との出合いが、待ち受けている。

御肉処 銀閣寺大にし

住所:京都市中京区寺町通二条下ル榎木町98-8

電話:075-213-0024

営業時間:17:00~23:00(最終入店20:30、L.O.22:00)

定休日:月曜

ディナーコース10,000円~(税込)※小学生未満は入店不可

*掲載情報は2020年4月号掲載時点のものです。

Recommends

会員誌『SIGNATURE』電子ブック版 ライブラリ
会員誌『SIGNATURE』電子ブック版 ライブラリ

電子ブック閲覧方法はこちら

白木麻紀子(アリカ)さんが綴るコラム【京都肉三昧】。今回は 「精肉店直営の料理店で極みの和牛と出合う」。