京の朝食
写真・武甕育子 文・水谷桃子(アリカ)
活気溢れる京の台所・錦市場。大きな荷物を抱えた観光客や地元の常連客、寺町通から流れてきた若者たちで賑わっている。その喧騒を抜け、北に延びる柳馬場通に出ると一転、穏やかな空気となる。ほどなく現れるのが『Haccomachi』。西京漬の名店『京都一の傳』がプロデュースする発酵カフェだ。
西京漬は、京都の白味噌「西京味噌」でつくる味噌床に魚や肉の切り身を漬け込む伝統料理。その旨みには言わずもがな、味噌という発酵食品が欠かせない。「発酵の魅力を世代を問わず広めたい。それが発酵カフェオープンのきっかけでした」と広報の堤朝来さんは話す。「発酵」を気軽に楽しんでもらおうと生まれた『Haccomachi』は、杉板と木格子、そして白い柱壁が目を引く明るい外観だ。
杉板は麹室をイメージしたといい、白壁には甘酒を思わせる粒々が。全面ガラスの引き戸の奥には、心安らぐ畳の小上がりが控える。素木の格子窓からは通りの様子がほのかに見え、ほっとくつろげる空間だ。「発酵」は日本の食文化に欠かせない。しかし発酵食品とは具体的に何か、と問われると即答できる人は少ないのではないだろうか。
『Haccomachi』では使用する発酵食品をすべてメニューに記載。鰹節、アンチョビ、バルサミコ酢……普段何げなく口にする食べものが、いかに発酵に支えられているのか気づかされる。
朝食に供される『Haccomachi特製 発酵ごぜん』は魚、肉、野菜などが少しずつ楽しめるヘルシー御膳。多彩な発酵食品を使うために、それに合う料理の品々が試行錯誤の末、開発されたそうだ。
鰹節や焼き味噌が乗り、ぷっくりと膨らんだ重量感あるおむすびから、べったら漬けをすりおろしたスープ、塩麹の力でふんわり焼き上がった白身魚に、ヨーグルトに漬け込んだやわらかタンドリーチキン、みりん使いが憎いみたらしあんのプリンなどの全12品。
大人気の甘酒に使われるのは、300年以上の歴史を誇る京都の種麹老舗『菱六』の麹だ。米と麹のみでつくられた甘酒は一口含めば驚くほどの深い甘み。それでいて米本来の味ゆえか、口当たりが良くスルスルと飲め、思わずもう一杯と欲してしまいそうになる。
女性を中心に若い世代から支持を得るというのも納得の健やかな朝ごはん。発酵パワーが優しく体に染み込み、活力がじんわり湧いてくるよう。何だかとても得した気分になる、京都の朝である。
発酵カフェ Haccomachi
京都市中京区十文字町458-1
電話:075-256-8883
営業時間:朝食8:00~10:00(L.O.9:15)、ランチ11:00~15:00(L.O.14:15)、カフェ15:00~17:00(L.O.16:15)、テイクアウト11:00~16:30
定休日:水・木曜
「Haccomachi特製 発酵ごぜん」1,820円(税込)
*掲載情報は2024年1&2月号掲載時点のものです。
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水谷桃子(アリカ)さんが綴るコラム【京の朝食】。今回は「「発酵」の美味しさと気づきを楽しむ」。