京都、路地のなじみ
写真・武甕育子 文・石嵜綾子(アリカ)
京都の玄関口、京都駅。バスターミナルのある北側に対し、南側は比較的人けが少ないが、ここ数年で駅周辺の様子は変化してきた。京都市立芸術大の新キャンパスについで、アート集団・チームラボのミュージアムも近々完成予定と、文化芸術を軸に再開発が進む。飲食店も徐々に増え、注目が高まるエリアだ。
八条口の南には、京都人おなじみのショッピングセンター・アバンティが立っている。その裏手に回り針小路通を進んでいくと、細い路地の入り口に「ワインとおやつ ALKAA」の文字を白く抜いた看板が現れる。その先にひっそり佇むのは、2022年オープンの、ナチュラルワインに特化したバーだ。
「ワインとおやつ」という、ありそうでなかった新鮮なコンセプトは、自然派ワインの魅力を追求してきた堅田善孝さんと、長年カフェを営んだパティシエの妻・恵子さんがお互いの得意分野を掛け合わせたもの。
昼下がり、路地に面した大きな窓からは、やわらかな日の光が差し込む。カウンター席に座り、味の好みを伝えると、堅田さんがおすすめの数本を並べ、各銘柄の造り手や味わいについて丁寧に説明してくれる。
その穏やかな口調に、ほっと肩の力が抜ける。ワイン愛好家や専門業者だけでなく、ワインビギナーも多く集う所以である。
グラスワインで提供するのは常時10種類以上。ボトルワインは2500〜3000本をストックし、年間を通じて13℃に保つワインセラーで、最も美味しくなる時が訪れるまで「育て」られる。
お客に出す前には必ずテイスティング。そしてグラスに注ぎ、クルッと回転させて内側にワインを纏わせる。「香りを存分に味わってほしいので」と堅田さん。
北海道余市の辛口白ワインを頂いた。常連客に人気という「塩サブレ」の程良い塩気と白ワインの快い苦味が絶妙に合う。香ばしい「カヌレ」にはイタリア・フリウリ産の赤ワインを。熟した果実のような薫りやコクとの相性の好さに驚く。
「ワインそのものを楽しみたい方に来てほしい。ナチュラルワインには、造り手のこだわりや個性がぎっしり詰まっているのが魅力。その深い世界を味わって頂きたいですね」と堅田さん。ワイン愛溢れる注ぎ手が提案する、ワインとおやつのペアリングに舌鼓を打ち、さらにパテなどの一品とともに杯を重ねれば、つい時が経つのを忘れてしまう。
気づけば外はもう薄暗い。京都を発つ前に立ち寄り、新幹線の便を遅らせて長居する人たちが多いというのも頷ける。
ALKAA(アルカ―)
京都市南区東九条山王町15-7
電話:070-9017-1507
営業時間:15:00 ~ 24:00
※店休日の翌日は18:00 ~ 24:00
定休日:不定休
「グラスワイン」1,400~2,800円、「カヌレ」300円、「塩サブレ」300円(すべて税込)
*掲載情報は2024年5月号掲載時点のものです。
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石嵜綾子(アリカ)さんが綴るコラム【京都、路地のなじみ】。今回は「駅近で、ワインとおやつに舌鼓を打つ昼下がり」。