京の朝食

御所西のホテルで
京都を堪能する
朝懐石

写真・伊藤信 文・山下崇徳(アリカ)

京都の真ん中、京都御所の西。茶道三千家や、醤油・味噌・麩などの老舗が点在するなか、登下校の小学生の姿も目にする閑静な住宅地――そんな古都の伝統と現代の暮らしが共存し、素顔の京都に触れられるエリアに、『京都ブライトンホテル』はある。

同ホテルでは春と秋の美しい季節、朝一番に寺社を貸切・散策する早朝ツアーを約20年実施するなど、数ある宿泊施設のなかでも地元・京都との結びつきが強いホテルの一つ。旅人と京都を深くつなごうという精神を食にも投影し、京都の旬の味覚を贅沢に盛り込んだ朝餉がある。ホテル1階『京懐石 螢』にて、コース仕立てで供される「螢特別朝食」だ。

この日の先付は「寄せ豆腐 茸 小吸物」。ふわりと鼻に抜ける出汁のやさしい香りが心地よく、朝の眠気を覚ましてくれる。続く前菜は京漆器老舗『象彦』の塗り箱に盛られ、ふたを開ければまるで宝石箱のように華やかに盛り付けられた4種の小鉢が現れる。ころんと丸い器に入るのは、京都・美山の手作りゆば専門店『ゆう豆』の湯葉豆腐。美山産大豆の豊かな風味が口中に広がる。

「丹波地どり」の葱味噌焼きのジューシーで深い旨みに舌鼓を打ったあとは、ふわっと軟らかに焼き上げられた「出汁巻き玉子」を。濃厚な玉子・福知山産「どんたま」と出汁との調和が絶妙で、ホテル開業以来30年を超え人気を保つというのもうなずける。コクのある煮物のあとの箸休めには、すっきりした味わいが地元でも人気の『打田漬物』の漬物盛り合わせやしぐれ煮などが並び、味噌汁は『西京味噌』の京都らしい白味噌を使う。

そしてシメには京都産米「ヒノヒカリ」を炊いた「あわび粥」が供される。お腹の内から温めてくれる粥は、あわびの食感と、薄口と濃口を合わせた醤油あんが程よいアクセントに。

京都の素材がたっぷり使われた品々はまるで夕食かと見紛うほどのボリュームだが、変化に富み、繊細かつ上品な味付けのせいか箸はどんどん進む。「リピートの方も多いので前とは違う楽しみを感じていただけるよう、季節の素材はもちろん、献立の中身も少しずつ変えています」と料理長・村山弘司さん。

お腹いっぱいになったあとは腹ごなしを兼ね、ふらりと近所を歩いてみたい。あわび粥のあんにも使われる醤油は、ホテルから徒歩数分の『澤井醤油本店』のもの。自然豊かな京都御苑を散策すれば、季節の移ろいが楽しめる。まるで暮らすように過ごす、特別で穏やかな「京都時間」がきっと堪能できるだろう。

京懐石 螢

京都市上京区新町通中立売(御所西)京都ブライトンホテル1階

電話:075-441-4411(10:00~19:00)

営業時間:朝食7:00~10:00(L.O.9:30)、ランチ11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー17:00~21:30(L.O.20:30)

定休日:なし

https://kyoto.brightonhotels.co.jp/restaurant/hotaru/

「螢特別朝食」6,000円(税込)

*前日(17:00)までの予約制、1日10食限定

*掲載情報は2023年12月号掲載時点のものです。

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山下崇徳(アリカ)さんが綴るコラム【京の朝食】。今回は「御所西のホテルで京都を堪能する朝懐石」。