カードの年会費を仕訳する勘定科目は?消費税の仕入税額控除も解説

事業用に利用しているクレジットカードの年会費は、経費として計上できます。また、年会費として支払った金額のうち消費税相当分は、適格請求書(インボイス)を保存しておけば仕入税額控除の対象になります。
しかし、クレジットカードの年会費をどの勘定科目にすべきか、仕入額控除の仕組みもよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、クレジットカードの年会費の勘定科目や仕訳の記帳例、仕入税額控除を受ける方法、法人カードのメットやデメリットについても解説します。
目次
- ・クレジットカードの年会費は経費にできる
- ・クレジットカードの年会費の勘定科目
・「支払手数料」で処理する記帳例
・「諸会費」で処理する場合
・「雑費」で処理する場合
- ・クレジットカードの年会費で消費税の仕入税額控除を受ける方法
- ・課税事業者の記帳方法
・税込経理方式での処理
・税抜整理方式での処理
- ・法人カードと個人カード、どちらも年会費は経費にできる
- ・法人カードを作るメリット
・事業の経費とプライベートの支出を明確に区別できる
・経費の管理が楽になる
・ビジネスに役立つサービスが利用できる
・追加カードが発行できる
・大きめの利用可能枠を活用できる
・振替口座に法人口座や屋号付き口座を設定できる
- ・法人カードのデメリット
- ・ビジネス利用なら、ダイナースクラブの法人カードがおすすめ
・ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴
・ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴
- ・法人カードを活用してビジネスに集中できる環境を作ろう
クレジットカードの年会費は経費にできる
事業の支払いに利用しているクレジットカードの年会費は、事業経費として計上できます。
所得税や法人税などは、収入から経費(法人の場合は益金から損金)や控除を差し引いた「所得」に対してかかるので、年会費を忘れず計上することは、納める税金の額を抑えることにつながります。
■所得税を抑える仕組み

クレジットカードの年会費の勘定科目
複式簿記方式での記帳において、事業用クレジットカードの年会費を仕訳する際は、「支払手数料」または「諸会費」の勘定科目を使います。個人事業主なら「雑費」でもかまいません。どの勘定科目を選ぶかは事業者の自由ですが、一度決めたら、毎年同じ勘定科目で処理するのがルールです。
■クレジットカードの年会費に使える勘定科目

それぞれの勘定科目を使った場合の記帳例は、次の通りです。
「支払手数料」で処理する記帳例
「支払手数料」は、取り引きに関する手数料や手続きの手数料を集計・管理するための勘定科目です。
事業用クレジットカードの年会費は、クレジットカードに付帯する特典やサービスを受ける手数料、経費管理の手数料と見なせるため、「支払手数料」の勘定科目が使えます。
たとえば、事業用クレジットカードの年会費11,000円が振替えされた場合、仕訳は次の通りです。
■勘定科目「支払手数料」の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 11,000円 | 預金 | 11,000円 |
「諸会費」で処理する場合
「諸会費」は、同業団体や商工会の会費など、年会費や入会費を支払った場合によく使われる勘定科目です。
事業用クレジットカードの年会費を、有料カード会員の維持費用と考えるなら、「諸会費」の勘定科目が適しています。
事業用クレジットカードの年会費11,000円が振替えされた場合、仕訳は次の通りです。
■勘定科目「諸会費」の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
諸会費 | 11,000円 | 預金 | 11,000円 |
「雑費」で処理する場合
「雑費」は、少額かつ一時的な費用で、ほかに該当する項目がない場合につかう勘定科目です。
事業用クレジットカード年会費は年に1度のみの支出であるため、わざわざ専用の勘定科目を用意することもないと考えるなら、雑費で処理してもかまいません。
事業用クレジットカードの年会費11,000円が振替えされた場合、仕訳は次の通りです。
■勘定科目「雑費」の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
雑費 | 11,000円 | 預金 | 11,000円 |
クレジットカードの年会費で消費税の仕入税額控除を受ける方法
クレジットカードの年会費として支払った金額のうち、消費税相当分は、インボイスを保存していれば仕入税額控除の対象です。
仕入税額控除とは、課税事業者が納税すべき消費税を計算する際に、売上にかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を差し引いて計算できる制度のことです。消費税の二重課税を防ぐために設けられています。
自身が課税事業者であれば、消費税を納めなくてはなりません。事業者が納める消費税額は、売上にかかる消費税から、自身が消費税相当分として支払った額を差し引いた金額になります。この「自身が消費税相当分として支払った金額を差し引く」ことが、仕入税額控除です。
■仕入額控除の仕組み

2023年10月以降、仕入税額控除を行うには、取引相手が発行したインボイスの保存が必要というルールになっています。つまり事業者は、クレジットカード会社が発行するインボイスを保存していれば、年会費の消費税分を売上にかかる消費税額から差し引くことが可能ということです。
なお、消費税の申告時には、インボイスをもとに計算した仕入税額控除の金額を申告書に記載します。そのため、保存が義務付けられているだけでなく、正しく計算・申告することも重要です。
課税事業者の記帳方法
課税事業者は、帳簿の記帳方式を、売上金や支払金などに消費税相当分を含めて経理処理する「税込経理方式」にするか、消費税分を分けて処理する「税抜経理方式」にするかを選択できます。
税込経理方式はシンプルで管理が容易、一方で税抜経理方式は損益の正確な把握に適しているという特徴があります。事業の状況に応じて適切な方式を選びましょう。
クレジットカードの年会費の消費税についての経理処理はそれぞれ次の通りです。
税込経理方式での処理
税込経理方式では、取引金額に含まれる消費税相当額を区別せず、税込みの総額で仕訳します。仕入や売上をすべて税込みで記帳するため、帳簿上の金額が支払額・受取額と一致しやすくなります。
取引先と税込価格でやりとりすることが多い事業者や免税事業者、インボイス制度の2割特例を利用する事業者は税込経理方式が向いている方式です。
事業用クレジットカードの年会費11,000円が振替えされた場合、税込経理方式での仕訳は次の通りです。
■税込経理方式の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料(※) | 11,000円 | 預金 | 11,000円 |
※諸会費または雑費
税抜整理方式での処理
税抜経理方式では、取り引きごとに本体価格と消費税相当額を分けて仕訳します。税抜経理方式を採用すると、帳簿上の売上や仕入がすべて税抜きで計上されるため、損益を正確に把握しやすくなります。
常に税抜価格で財務管理をしたい事業者、簡易課税制度を適用していない、インボイス制度の2割特例を利用しない事業者に向いている方式です。
事業用クレジットカードの年会費11,000円が振替えされた場合、税抜経理方式での仕訳は次の通りです。
■税抜経理方式の場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料(※) | 10,000円 | 預金 | 11,000円 |
仮払消費税 | 1,000円 |
※諸会費または雑費
法人カードと個人カード、どちらも年会費は経費にできる
クレジットカードには、事業用に適している「法人カード」と、主にプライベートでの利用を想定した「個人カード」がありますが、どちらのカードであっても、事業に使用しているクレジットカードであれば、年会費は経費にできます。
ただし、1枚のカードを事業とプライベート両方の決済に使っている場合は、事業で使っている割合を算出する「家事按分」を行い、事業で使った分のみを経費として計上します。家事按分には、特に定められたルールはありませんが、第三者が納得できる基準にもとづいた按分が求められます。クレジットカードなら、それぞれの決済金額にもとづいて按分することが考えられます。
事業決済に利用している個人カードの年会費を経費に計上する場合は、クレジットカード会社が発行してくれる領収書があると、経費計上の証拠として認められやすくなります。なお、三井住友トラストクラブの「ダイナースクラブ プレミアムカード」や「ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード」は領収書が発行されるクレジットカードです。
法人カードを作るメリット
法人カードでも個人カードでも、事業用として利用するなら年会費を経費に計上できることは変わりませんが、そのほかの要素も考慮するなら、事業の決済には法人カードの利用をおすすめします。
法人カードを作る主なメリットは次の6つです。
事業の経費とプライベートの支出を明確に区別できる
法人カードを作ることで、事業の経費とプライベートの支出を明確に区別できるメリットが得られます。
個人カードだけを利用する場合、プライベートの決済も同じカードで行ってしまうため、事業とプライベートの境目があいまいになりがちです。事業用に法人カードを持っておけば、プライベートの支出とビジネスの支出を明確に区別できます。
経費の管理が楽になる
法人カードを作るメリットとして、経費の管理が楽になる点が挙げられます。
法人カードを作り、仕入費などすべての経費をカードで決済すると決めておけば、カードの利用明細をチェックするだけで、すべての支出が把握可能です。会計ソフトと連携し、使用履歴を自動で取り込むようにしておけば、記帳や仕訳の手間も省けます。
ビジネスに役立つサービスが利用できる
法人カードを作ると、ビジネスに役立つサービスが利用できることもメリットのひとつです。
法人カードは、個人カードに比べてビジネスで役立つサービスが充実しています。たとえば、会計ソフトの割引利用や航空券の手配代行、国内・海外の出張サポートなど、ビジネスユーザーにとって有益なサービスが用意されています。
追加カードが発行できる
法人カードを作るメリットには、追加カードが発行できる点も挙げられます。一般的に法人カードは、従業員向けの追加カードやETCカードを複数枚発行することが可能です。
従業員に追加カードを持たせておき、備品の購入や出張の際のチケット代、ホテル代などをカード決済するようにしておけば、出張費用の立替払いや経費精算が不要になり、会計事務の手間が大幅に軽減されます。ETCカードも、交通費精算の手間削減に役立ちます。
大きめの利用可能枠を活用できる
法人カードを作ると、大きめの利用可能枠を活用できるメリットが得られます。
一般的に、法人カードの利用可能枠は個人カードに比べて大きめです。たとえば「ダイナースクラブ ビジネスカード」であれば、利用可能枠に一律の制限は設けられていません。一人ひとりの利用状況や支払実績に応じて、個別に設定されます。高額な決済をした場合は、事前に相談できるサービスもあり、高額な決済でも利用しやすくなっています。
事業関連の決済は高額になることもあるため、法人カードであれば安心して利用できるでしょう。
振替口座に法人口座や屋号付き口座を設定できる
法人カードを作るメリットとして、振替口座に法人口座や屋号付き口座を設定できるようになることも挙げられるでしょう。
一般的に、個人カードの振替口座に、法人口座や屋号付き口座は設定できません。個人事業主で事業用口座として屋号付き口座を使っている場合、法人カードであれば振替口座として登録できます。
法人カードのデメリット
法人カードに大きなデメリットは特にありません。
しいていえば、個人カードは年会費無料のカードが多いに対して、法人カードは年会費がかかるカードが多いことが挙げられます。もっとも、年会費無料の法人カードもありますし、有料のカードは、その分付帯サービスが充実しているので、「金額に見合ったリターンを得られるか」という点で評価することが重要です。
ビジネス利用なら、ダイナースクラブの法人カードがおすすめ

法人カードは各社からさまざまなものが提供されていますが、ビジネスでの使いやすさを重視するなら、ステータスの高さも備えたダイナースクラブのビジネスカードがおすすめです。
ここでは、「ダイナースクラブ ビジネスカード」と「ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード」の特徴をご紹介しましょう。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴
ダイナースクラブ ビジネスカードは、個人事業主・法人経営者向けのビジネス専用カードです。法人・団体などの代表者や役員、または個人事業主であればお申し込みいただけます。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次の通りです。

・企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある
ダイナースクラブはアメリカで1950年に誕生し、クレジットカード業界をリードしてきたカードです。日本では1961年から発行を開始し、以来、企業の役員、医師や弁護士といった国家資格を有する方など、社会的信用の高い方をメンバーとしてお迎えしてきました。
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。
・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる
ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数ご利用いただけます。
たとえば、会計ソフトの優待サービス、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。
・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる
ダイナースクラブのポイントには有効期限がないため、好きなタイミングでポイントをご利用いただけます。貯めたポイントは、厳選グルメや人気メーカーの家電、ゴルフ用品、各種商品券などに交換可能です。いずれもステータスカードにふさわしい、ワンランク上の賞品がラインナップされています。
・利用可能枠に一律の制限なし
ダイナースクラブのカードは、ご利用可能枠に一律の制限はありません。一人ひとりの利用状況や支払い実績に応じて、個別に設定されます。高額なお買い物の際は事前にご相談いただけるサービスもあります。
・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用でお申し込みができる
ダイナースクラブ ビジネスカードは、申込時に登記事項証明書(登記簿謄本)の提出は必要なく、事業主の信用情報だけでお申し込みができます。法人経営者・個人事業主のどちらでも、お申し込みが可能です。
・充実のビジネス特典がある
加盟店優待「ビジネス・オファー」、会計ソフト「freee」の優待、会員限定の招待イベントなど、ビジネスカードならではの特典も充実しています。
・従業員を含めた経費の一元管理が可能
ダイナースクラブ ビジネスカードは、18歳以上の従業員に対し、追加カードを4枚まで年会費無料で発行可能です(3、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税込)のカード維持手数料がかかります)。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。
■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 | 基本会員 27,500円(税込) |
---|---|
ポイント換算率 | 100円につき1ポイント ※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
旅行傷害保険 | 最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
追加会員 | 年会費無料(追加カード発行は4枚まで) ※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込) |
ETCカード | ・基本会員は5枚まで発行可能 ・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能 ※年会費・カード発行手数料無料 |
ポイント有効期限 | なし |
ショッピング保険 | 購入日より90日間、年間500万円まで |
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、法人カードではありませんが、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを経費用と使い分けることで、経費管理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。
・プライベート用と経費用に分けて支払口座の設定が可能
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と経費用に分けた経費の管理が容易になります。
・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出として経費計上できます。年間手数料が所得税の節税につながる場合があるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。
・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでも、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスをご利用いただけます。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。
■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年間手数料 | 5,500円(税込) |
---|---|
ポイント換算率 | 100円につき1ポイント ※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
ETCカード | カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで ※年会費・カード発行手数料無料 |
ポイント有効期限 | なし |
保険 | 本会員カードと同様の保険適用 |
※ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード単体の発行はできません。
法人カードを活用してビジネスに集中できる環境を作ろう
事業上の支払決済に使用しているクレジットカードの年会費は、経費として計上することが可能です。また、支払った消費税相当分については仕入税額控除の対象となるので、自身が課税事業者の場合は、忘れずに申告しましょう。
これから起業する・副業を始める方、すでに事業を始めているが会計事務の負担を小さくしたいという方には、法人カードを持ち、仕入れ費・経費の支払いをカードの一本化するのがおすすめです。利用明細書を見ればすべての支出を把握できるうえ、会計ソフトと連携することで、帳簿付けや仕訳の手間も減らせます。
さまざまな法人カードの中でも、ダイナースクラブの法人カードは、信用につながる高いステータスを持ち、ビジネスに役立つ特典・サービスが付帯した、使い勝手のいいクレジットカードです。JALオンラインのインターネット予約サービスや会計ソフトとの連携など、ビジネスに役立つサービスが充実。個人の信用のみで審査を受けられる魅力もあります。
法人カードなら、ビジネスに寄り添うダイナースクラブのビジネスカードをぜひお手元に。
※本記事の内容は、2025年2月現在の情報をもとに制作しています。