個人事業主は屋号付き口座を開設すべき?メリットや開設の流れも解説

更新日:2025年2月14日

個人事業主が事業用に銀行口座を持つ場合、「プライベートの口座と事業口座はしっかり分けたほうがいい」といわれます。また、「本人名義の口座より、屋号付き口座のほうがいい」という話も聞きますが、これらはいったいなぜなのでしょうか?

ここでは、個人事業主がプライベート口座と事業用口座を分けるべき理由を解説。また、屋号付き口座のメリット・デメリットと、屋号付き口座を開設する流れについてもご紹介します。

個人事業主が事業用の口座開設をすべき理由

個人事業主が「プライベート用口座と事業用口座を分けたほうがよい」といわれる理由は、一言でいえば、分けたほうがお金の管理がしやすいからです。具体的には、口座を分けることによって下記のようなメリットがあります。
なお、ここでいう「個人事業主」には、副業として個人で事業を営む人も含まれます。

■個人事業主が事業用の口座開設をすべき理由
 

帳簿付けの手間を減らせる

プライベート用と事業用の口座が同じだと、両者の入出金が混在するので、どちらの活動による収支なのかがわかりにくくなります。事業の収支を確認するには、一つひとつの取り引きを確認し、プライベートの取り引きと事業上の取り引きを分けなければなりません。プライベート用と事業用の口座を分けていれば、こうした事務作業の手間は不要です。

お金の流れがわかりやすい

プライベート用と事業用の口座を分けていると、事業におけるお金の流れがわかりやすくなります。口座が分かれていないと、事業上の収入・支出の状況がひと目でわかりにくく、今どのような資金状態にあるのかを把握するのが困難です。

税理士に相談しやすくなる

プライベート用と事業用の口座が別だと、税理士に相談する際、事業用口座だけを見せればいいので、気軽に相談できます。口座が同じだと、プライベートのお金の収支まで見られることになるため、相談しにくくなってしまいます。

会計ソフトと連携しやすい

プライベート用と事業用の口座を分けておくと、会計ソフトとの連携がしやすくなります。口座が同じだと、銀行口座と会計ソフトを連携させて帳簿付けを行うとき、プライベートの取り引きは「事業主貸」「事業主借」などのように、勘定科目を分けて仕訳する必要があります。事業用の口座があれば、そうした手間は必要ありません。また、会計ソフトと事業用の口座を連携して収支記録を自動で取り込むようにしておけば、記帳の手間が削減でき、記帳ミスもなくなります。

個人事業主は屋号付き口座も選択可能

開業届を出している個人事業主は、個人名義の口座のほかに、屋号付き口座も開設できます。
開業届とは、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、税務署に開業・廃業したことを知らせるための書類です。個人で事業を始めた人は、原則として開業から1ヵ月以内に、「屋号」欄に屋号を記入した開業届を管轄の税務署に提出しなければなりません。

屋号付き口座とは、個人事業主が「屋号+個人名」で開設できる事業用口座のことです。たとえば、「山猫軒」という屋号のレストランを営む猫田賢治さんが屋号付き口座を開設すると、口座名義は「山猫軒 猫田賢治」になり、通帳にもそのように印字されます。なお、屋号のみの口座は開設できません。

また、副業として事業を営んでいる場合でも、開業届を出していれば、屋号付き口座の開設が可能です。
副業の事業規模は小さくても、営利目的で継続的に事業を行っているなら事業性があるといえるので、開業届を出しておきましょう。

個人事業主が屋号付き口座を開設するメリット

屋号付き口座は「選択できる」ものであり、「必ず屋号付き口座にしなければいけない」ものではありません。個人事業主名義の口座を2つ持ち、1つをプライベート用、もう1つを事業用として分けて使うこともできます。しかし、個人事業主が屋号付き口座を開設するメリットもあります。ここでは、2つのメリットについて解説しましょう。

事業用口座だとわかりやすい

事業用口座を屋号付き口座にすることで、プライベート用の口座と混同するリスクが減るのがメリットです。
プライベート用と事業用の口座を別の銀行に分けていても、どちらも個人名義の口座だった場合、混乱する可能性があります。しかし、事業用の口座を屋号付き口座にしておくことで、そうした問題はなくなります。

取引先からの信頼につながる

屋号付き口座は、ひと目で事業を営んでいる人の口座だとわかり、取引先や顧客からの信頼につながるメリットがあります。ネットショップで商品を購入する際、代金の振り込み先が個人名義の口座で、「大丈夫かな?」と不安に感じたことはないでしょうか。振込先が屋号付き口座であれば、「確かに事業を営んでいる人だ」とわかることから、顧客や取引先に安心感を与え、スムーズに商品を購入してもらえます。

個人事業主が屋号付き口座を開設するデメリット

これまで紹介したように、個人事業主にとってメリットの多い屋号付き口座ですが、一方でデメリットもあります。屋号付き口座を開設するデメリットの具体例としては、下記の3つが挙げられます。

開設できる金融機関が限られる

屋号付き口座は、金融機関によっては開設できないことがあるのがデメリットです。また、屋号付き口座を開設できる金融機関であっても「事業所の最寄りの支店でのみ開設可能」といった制約がある場合も少なくないので、希望する金融機関・支店での開設が可能か、事前に確認しておかなくてはいけません。
なお、実店舗のある金融機関の場合、オンラインでは申し込みができず、実際に来店しての手続きが必要というケースが多くみられます。

口座の開設までに時間がかかる

屋号付き口座の開設は、通常の個人名義口座より時間がかかるのもデメリットです。
口座開設の申し込みから開設までには、1~2週間ほどかかることが多いので、スケジュールに余裕をもって申し込まなければなりません。

開業前の開設はできない

屋号付き口座は開設の際に、開業届や納税証明書、確定申告書など、屋号で営業していることを証明する書類が必要となります。そのため、基本的には開業前に開設できないのがデメリットです。
また前述の通り、申し込みから口座開設までに時間がかかることから、開業と同時に屋号付き口座を使い始めるのは難しいでしょう。

個人事業主が屋号付き口座を開設する流れ

屋号付き口座を開設できる主な金融機関は、下記の通りです。必要書類がそろっていないと手続きが進まないので、しっかりそろえてから申請しましょう。

1. 開業届の提出

個人事業主の屋号は、開業届を税務署に提出することで、正式な「事業上の名称」として認められます。
開業届の控えは、大切に保管しておきましょう。開業届を管轄の税務署の窓口に提出する場合、開業届の原本といっしょにコピーを持って行くと、その場でコピーに収受日付印を押してもらえます。
郵送で提出する場合は、コピーと切手を貼った返信用封筒を同封しておくと、1週間ほどで収受日付印の押されたコピーが返送されてきます。e-Taxで提出した場合は、送信したデータとメッセージボックスに届く受信通知を印刷しておいてください。

すでに開業届を提出しており、新たに屋号を付けたい場合や屋号を変更したい場合は、確定申告書の屋号欄に新しい屋号を記入して提出し、その控えを保管しておきます。

2. 金融機関を選ぶ

屋号付き口座を開設する金融機関を選びます。
ATMの使い勝手や各種手数料、サービス等を比較して、自身にとって最適な金融機関を選びましょう。ただし、屋号付き口座開設に対応していないところもあるので、まずは開設が可能かどうかを確認してください。

屋号付き口座を開設できる主な金融機関は、下記の通りです。

■屋号付き口座を開設できる主な金融機関
実店舗のある銀行 三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行
ネット銀行 楽天銀行、PayPay銀行、GMOあおぞらネット銀行

また、金融機関によっては、屋号付き口座の開設に一定の条件がある場合もあります。
たとえば、みずほ銀行の場合、屋号付き口座を開設するには、法人口座開設ができる店舗に出向いての手続きが必要です。さらに、開設できるのは自宅の最寄りの店舗に限られています。
また、ゆうちょ銀行の場合は、事業用途で個人名義の口座を持っていないことに加え、個人事業による一定額以上の所得があることも、屋号付き口座申し込みの条件となっています。

3. 必要書類をチェックする

口座開設を申し込む金融機関が決まったら、必要な書類をそろえていきます。
必要な書類は、一般的に下記の通りです。ただし、金融機関によって多少違いがあるので、申し込みの際は、必ず自身が申し込む金融機関に確認してください。

■屋号付き口座の開設に必要な書類の例

4. 来店予約をし、必要書類をそろえて金融機関へ

実店舗のある銀行の場合、屋号付き口座の申し込みはオンラインでは受け付けず、実店舗での手続きのみとしているところがほとんどです。来店日時の予約を取り、必要書類をそろえて金融機関へ出向き、申し込みを行いましょう。

ネット銀行の場合は、データ化した書類一式を送りオンラインで手続きが完結するところと、オンラインで申し込みを行った後、別途書類の郵送が必要なところがあります。金融機関によって異なるので、金融機関選びの際に、申し込み方法もチェックしておいてください。

プライベートと事業の出費を分けるには法人カードが役立つ

事業用口座を屋号付き口座にすることは、プライベート用と事業用のお金をきっちり分け、会計事務の手間を減らして、円滑に事業を営むのに役立ちます。さらに会計事務の負担を減らしたいなら、屋号付き口座に紐づけた法人カードに、経費や仕入れの支払いを一本化するのがいいでしょう。

法人カードにはさまざまなものがありますが、1枚選ぶなら、周囲からの信用につながるステータスカードであり、年会費サービス・特典のバランスが良い「ダイナースクラブ」がおすすめです。

なお、ダイナースクラブのカードラインナップには、ビジネスに特化した個人カード「ダイナースクラブ ビジネスカード」と、個人向けのダイナースクラブカードに付帯できる経費決済専用の「ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード」があります。

ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネスカードは、個人事業主・法人経営者向けのビジネス専用カードです。法人・団体などの代表者や役員、または個人事業主であればお申し込みいただけます。

ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次の通りです。

 

・企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある

ダイナースクラブはアメリカで1950年に誕生し、クレジットカード業界をリードしてきたカードです。日本では1961年から発行を開始し、以来、企業の役員、医師や弁護士といった国家資格を有する方など、社会的信用の高い方をメンバーとしてお迎えしてきました。
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。

・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる

ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数ご利用いただけます。
たとえば、会計ソフトの優待サービス、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。

・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる

ダイナースクラブのポイントには有効期限がないため、好きなタイミングでポイントをご利用いただけます。貯めたポイントは、厳選グルメや人気メーカーの家電、ゴルフ用品、各種商品券などに交換可能です。いずれもステータスカードにふさわしい、ワンランク上の賞品がラインナップされています。

・利用可能枠に一律の制限なし

ダイナースクラブのカードは、ご利用可能枠に一律の制限はありません。一人ひとりの利用状況や支払い実績に応じて、個別に設定されます。高額なお買い物の際は事前にご相談いただけるサービスもあります。

・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用でお申し込みができる

ダイナースクラブ ビジネスカードは、申込時に登記事項証明書(登記簿謄本)の提出は必要なく、事業主の信用情報だけでお申し込みができます。法人経営者・個人事業主のどちらでも、お申し込みが可能です。

・充実のビジネス特典がある

加盟店優待「ビジネス・オファー」、会計ソフト「freee」の優待、会員限定の招待イベントなど、ビジネスカードならではの特典も充実しています。

・従業員を含めた経費の一元管理が可能

ダイナースクラブ ビジネスカードは、18歳以上の従業員に対し、追加カードを4枚まで年会費無料で発行可能です(3、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税込)のカード維持手数料がかかります)。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。

■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 27,500円(税込)
ポイント換算率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
旅行傷害保険 最高補償額1億円(海外・国内)
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
追加会員 年会費無料(追加カード発行は4枚まで)
※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込)
ETCカード ・基本会員は5枚まで発行可能
・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能
ポイント有効期限 なし
ショッピング保険 購入日より90日間、年間500万円まで

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、法人カードではありませんが、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを事業用と使い分けることで、経費管理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。

・プライベート用と事業用に分けて支払口座の設定が可能

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と事業用に分けた経費の管理が容易になります。

・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出として経費計上できます。年間手数料が所得税の節税につながるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。

・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでも、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスをご利用いただけます。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。

■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年間手数料 5,500円(税込)
ポイント換算率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
旅行傷害保険 最高補償額1億円(海外・国内)
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
ETCカード カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで
※年会費・カード発行手数料無料
ポイント有効期限 なし
ショッピング保険 購入日より90日間、年間500万円まで

※ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード単体の発行はできません。

屋号付き口座と法人カードで経費管理の手間を削減しよう

個人事業主は、プライベート用口座と事業用口座を分けることで、お金の管理がしやすくなります。さらに、事業用口座を屋号付き口座にすると、顧客や取引先からの信用につながるといったメリットがあります。屋号付き口座は、開設できる金融機関が限られることや、口座の開設までに時間がかかるといった点もありますが、開設が難しいわけではありません。事業口座をどうするか迷ったら、屋号付き口座にするのがおすすめです。

さらに、屋号付き口座と法人カードを紐づけて、事業上の支払いや仕入れの決済をすべて法人カードに一本化すれば、経費管理の手間を大幅に軽減できます。ステータスが高く、ビジネスに役立つ特典が充実した法人カードを持つことは、ビジネスのますますの発展にもつながるでしょう。
ビジネスに寄り添うダイナースクラブのビジネスカードをぜひお手元に。

※本記事の内容は、2024年11月現在の情報をもとに制作しています。

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