インタビュー
写真(ポートレート)・永田忠彦 文・前川亜紀
Photographs by Tadahiko NAGATA
Text by Aki MAEKAWA
株式会社Sanu 代表取締役CEOの福島弦さん。
「SANU 2nd Home」(以下・SANU)は、月額55,000円で「都市から自然に繰り返し通い、生活をする」という生活様式を実現する、世界初の別荘サブスクリプションサービスだ。
「都市型生活者と自然との間には隔たりがあります。その距離を縮めたいと、このサービスを始めました。自然の中に“お客様”として行くのではなく、生活を楽しむ機会と場を提供したかったのです」とSanuの代表・福島弦さんは語る。
SANUは現在、SANU CABIN(サヌ キャビン)と呼ばれる宿泊棟をメインに15拠点・78室展開している。長野県白樺湖や八ヶ岳など、いずれも東京から1時間~3時間ほどで行けるエリアにある。設計はキッチンがメインで、もうひとつの家に帰る感覚で気軽に利用できるのが特徴だ。
この新しいサービスは、2023年にグッドデザイン・ベスト100を受賞。2024年度末には北海道から鹿児島・奄美まで30拠点・200室に拡大していく予定だという。その魅力を紹介しよう。
SANU CABIN 第1号「八ヶ岳1st」。天井高4メートルの開放感のある空間を実現。
SANU CABINの特徴は、高さ4メートルの天井と、国産木材をふんだんに使用した広々とした空間だ。
「キャビン内から雄大な景観を楽しむために、高さ4メートル、横幅最大約5メートルの開口部を設けています。快適に過ごせるよう、二重ガラスと木製サッシで断熱性を確保。厳しい寒さの冬であっても、室内は快適です」
朝から外を見ているだけで、朝露のきらめき、木漏れ日、燃えるような夕陽、満天の星空など、時間の移ろいを堪能できる。都会に比べ自然との距離がグッと近くなっていることを体感する。また、室内は国産木材の香りに満ちているという。室内構造は家具も含めて、直線をなるべく使わないようにしている。それは、自然界に直線というものが存在しないからだ。室内からすでに、自然とのグラデーションが始まっている。
居住空間の中心はキッチンだ。3口コンロやオーブンも備え付けてあり、本格的な料理も作れる。寝室やワークスペースなどは、完全に仕切らず、壁をアーチ形に開放。独立性を確保しつつ、それぞれのスペースで仕事や遊びに集中できる。滞在する全員がひとつの空間を共有できるのも醍醐味の一つだ。キッチンから料理のいい香りが漂ってくれば、滞在者の足は自ずとテーブルに向かう。
「より、自然を近くに感じるために、焚火台を備えています。ゆらめく炎を見ていると、時間がさらにゆっくりと流れていきますよ」
デザインと設計施工は、事業パートナーでもある、建築事務所『株式会社ADX』が手がけている。また、このキャビンは、その土地の生態系への負荷が少ない独自開発の高床式基礎杭工法を採用。100%再生可能エネルギーも利用し、環境負荷を最小限にしている。
キッチンには、3口コンロやオーブンなど充実した設備に加えて、調理器具、調味料を完備。
収容人数:最大4名(セミダブルベッド2台)。室内は広さ50㎡、13㎡のテラスが付く。
週末に家族で利用しています。鳥のさえずりを聴きながら森を散歩するなど、東京では味わえない自然体験を、子どもと一緒にできることがすごくいいなと思います。−−40代男性
SANU 2nd Homeの拠点から車で5~10分の場所にスーパーや道の駅があるなど、暮らしやすい場所が選ばれている。周りの自然にも恵まれアクティビティの拠点としても使いやすい。
自然と都市との往復を重ねていくと、自身の感覚が研ぎ澄まされていくことがわかる。
「自然は危険と隣り合わせともいえます。雲や風の動きから天候を予想したり、湿度で雨を予測したりします。また、動物や草花の様子で季節を感じる。このとき、きっと五感を駆使しているのでしょう。これは都市ではできない体験です」
森を散歩すれば、足元のやわらかな落ち葉に虫や微生物が棲み、木漏れ日が草花を育て、動物がやってきてフンを落とし、これが木や草の肥料になるという、生態系にも気づくことができる。
「消費的な旅ではなく、生活者として自然に入っていく。その回数を重ねるうちに、自然と対話ができるようになるのです。自然界は安全でないからこそ、適度な緊張感が心地いいことにも気づかされるはずです」
SANU 2nd Homeの各拠点は、自然をアクティブに楽しめるスポットからのアクセスもいい。白樺湖なら、カヌーやボート、湖畔のランニングも可能だ。少し足を伸ばせば、車山高原があり、ここから日本百名山の大半が見えるという。八ヶ岳は、6つのトレイルコースが集まる清泉寮や山々を一望できる高原大橋、吐竜の滝、スキー場など自然と遊ぶスポットが盛りだくさんだ。その他のキャビンも、自然を親しむ場所に立地している。
「自然は、人間のクリエイティブな力を呼び覚ましてくれます。ビジネスはもちろん、プライベートの決断も、自然から得たインスピレーションがいい未来へと導いてくれるでしょう」
それは自然の中にいると、自ずと本質がわかるようになり、幸福に気づかされるからではないだろうか。
初めて利用したときの感動が、リピートしていくごとに自宅のようにほっとできる場所に変化していき、思わず「ただいま」と言っちゃいます。
−−30代女性
静かな環境で仕事や趣味に没頭できる、なにものにも代え難いゆったりと流れる時間。
愛犬と一緒に過ごせるキャビン「SANU CABIN − Dog Friendly 」もスタート。
SANUの会員になってまだ2ヵ月ほどですが、月に数日間、森の中に身を置くようになってからは、ノイズまみれの都会の生活にも潤いを感じられるようになりました。−−50代男性
「自然と都市が乖離することで、幸福を感じる機会が少なくなっていると感じます」と、Sanu代表の福島さんは言う。
「私は北海道札幌市の郊外に生まれ育ち、夏は山で冒険し、冬はスキーに夢中になる少年時代を過ごしました。体の使い方、危機管理方法を身をもって学び、自然の恵みと脅威を身近に感じて生きてきたのです」
しかし、大学進学を機に上京してからその生活は一転する。情報の洪水を泳ぎ、次々と目標がやってくる目まぐるしい日々を過ごす。
「コロナ禍で世界が一時停止するまで、そんな生活を楽しんでいました。ステイホーム中に心身が自然を求めましたが、北海道の山で遊んで育った僕でさえ、自然との間にいくつもの壁があることを感じたのです」
合理性を極めた都市に暮していると、自然の中で暮らす知識と経験は培われない。アウトドア用品を買っても、使い方もわからなければ、使いこなすこともできない。
「僕たちが提供しているのは、消費ではなく、自然の中で生活を営むことなのです。自然の中に生活拠点があれば、自然と都市との見えない壁は拓かれていく。その土地へ繰り返し通ううちに、その地域に対しても、愛情をもって接するようになります」
ここが、観光ビジネスとSANUとの大きな違いだ。お客様としておもてなしをされるのではなく、自らが住み、体験するからこそ、気づくこと、感じることがある。
「その橋渡しをするために、SANU会員向けに地域資源を生かした体験プログラムの提供や、子ども向けの自然教室なども行う予定です」
富士山を間近に望める富士五湖の一つ山中湖のキャビン「山中湖 1st」。
緑に囲まれた家に来てきれいな空気を吸うと、東京のせわしない時間から気持ちが切り替わります。ふだん暮らしている東京以外のいろんな土地に、新たなつながりを作れることも楽しみです。−−40代女性
今後、SANUは、国内外に拠点を増やす計画が進行している。有休別荘をリノベーションする新シリーズ、法人向けの会員制度なども発足させた。
「2023年11月、新たな展開として九十九里浜の一宮に『SANU APARTMENT』をオープンしました。これまで山が中心でしたが、ここは初の臨海キャビンです。海まで徒歩5分なので、仕事の合間にサーフィンができると好評です」
潮風が心地いいエリアに、9室が連棟式につながっている。カフェも併設しており、会員同士の緩やかな繋がりも生まれているという。
「SANUは、ライフスタイルの価値観が近い皆さんと長くつながるサブスクです。僕たちも会員の皆様も同じ何かを共有し、共感していると感じています。それらが共鳴し合えば、未来の社会は変っていくのではないかと思うのです」
ひとりひとりの意識が変われば、持続可能な社会も実現に近づく。
「自然の中で暮らしていると、都市では実感できなかった環境問題がより身近に感じられます。何かを消費する前に立ち止まったり、行動が正しいかどうかを自ずと考えるようになるのです」
また、自然の滞在時間が増えるほど、やりたいことや生きがいにも気づいていくという。
「都市生活は、過剰な情報と選択肢、丁寧なサービスが多いですから。そこから離れることで、人は本来の姿を取り戻すのでしょう」
SANUは世界初の別荘サブスクサービスだ。一部の富裕層や好事家のための別荘を、多くの人に解放した。
「SANUのミッションは、“Live with nature./自然と共に生きる。”です。自然を身近に感じる人が増えれば、少しずつ未来は明るくなっていくと信じています」
2023年、千葉県一宮に誕生したSANU初となる海の拠点「SANU APARTMENT」。
暮らしに必要なモノが揃っていて、わが家のようにくつろげます。東京でリモートワークしていた頃より、心も体も健康になった実感があります。
−−20代男性
[SANU 2nd Home]
自然の中にもう一つの家を持つ月額制サブスクリプションサービス。初期費用0円・月額55,000円からセカンドホームのある暮らしが楽しめる。豊かな自然に囲まれ、かつアクセスしやすいロケーションは、八ヶ岳をはじめ、那須、安曇野、軽井沢、白樺湖、富士五湖周辺から伊豆半島まで全15拠点。2024年末には30拠点・200室へ拡大予定。サステナビリティを追求した建築と心地よい空間デザインの施設をどこでも利用可能。法人向けサービスのほか、共同オーナー所有ができる「SANU 2nd Home Co−Owners」も開始。
森に包まれた「白樺湖 2nd」のキャビン。
【ダイナースクラブ会員限定特典】
【宿泊概要】
料金:28,000円(税込)/1泊
最大連泊数:4泊まで
最大人数:最大4名/1棟(*大人2名・子供2名を推奨)
対象施設:八ヶ岳/河口湖/白樺湖/軽井沢/北軽井沢/一宮
【期間】
2024年9月30日(月)まで
【お申し込み方法】
下記ページのお申し込みフォームに必要事項を入力し、宿泊チケットをお受け取りください。
詳細はリンクをご覧ください。
※特典提供元:株式会社Sanu
Profile
福島 弦
Gen FUKUSHIMA
株式会社Sanu 代表取締役CEO。北海道出身。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタント業に従事した後、ラグビー界に転身。プロラグビーチーム「Sunwolves」創業メンバーを経て、ラグビーW杯2019日本大会の運営に参画。2019年、本間貴裕氏とともにSANUを設立。2021年よりメンバーシップ制セカンドホームサービス「SANU 2nd Home」を提供開始。
2025.04.01 Interview
2025.03.03 Interview
2025.03.03 Interview
2025.01.06 Interview
2024.12.02 Interview
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2024.11.01 Interview
2024.08.16 Interview
株式会社Sanu 代表取締役CEOの福島弦さんへのインタビューをご紹介。