会社に必須の定款とは?意味や記載事項、作り方を解説

更新日:2025年4月25日

定款とは、会社の基本情報や規則をまとめた書類で、会社設立の際に必ず作成します。定款に最低限記載すべき内容は法律で決まっており、不備があると会社設立の手続きが進みません。そのため、会社を作るなら、定款について知っておく必要があります。

ここでは、定款について、記載すべき事項や定款づくりに役立つフォーマットのほか、定款認証も解説します。

定款とは?

定款(ていかん)とは、会社の基本的な事項や会社の方向性、会社を運営するうえでの原則を定めた書類で、「会社の憲法」とも呼ばれる重要な書類です。定款の作成は会社法で定められており、会社が設立登記を受けるには、定款を法務局に提出しなければなりません。また、株式会社の場合は、公証役場で定款認証を受けることも義務付けられています。

定款の作成を担う人は、株式会社なら発起人、合同会社なら社員(出資者、経営者)です。作成した定款には、作成者による署名や捺印(または記名・押印)をします。
なお、会社設立後に定款の内容を変更することは可能となっています。ただし、株式会社の場合は株主総会の決議が必要になるうえ、変更登記の際は登録免許税もかかるため、すぐには変更の必要が生じないように、最初から丁寧に作っておくことが大切です。

■定款

定款の記載事項

定款に記載する事項は会社法によって大枠が決められており、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分けられます。
それぞれについて、株式会社の例を挙げながら解説しましょう。

■定款の主な記載項目

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、会社法により、定款に必ず記載しなければならないとされている事項です。次の記載がない場合は、定款自体が無効になります。
株式会社の場合、絶対的記載事項となっている項目は次の通りです。

■絶対的記載事項の項目と内容(株式会社の場合)
記載項目 内容
事業の目的 会社がどのような事業を行うのかを表します。
事業の目的が絶対的記載事項となっているのは、取り引きの安定性を確保するためです。会社は自然人と違って目に見える実態がなく、名称だけでは、何をやっている会社なのかもわかりません。そこで、安心して取り引きができるように、定款に事業の目的を明記することになっています。
商号 会社の名称です。
「すでに商標登録がされている会社名は使えない」「漢字やひらがな、カタカナ、アルファベットなどと一部の記号のみ使用できる」など、一定のルールがあります。
本店所在地 会社を登記する際の住所です。
なお、本店所在地は会社の登記事項証明書に記載されます。1人会社で自宅をオフィスにしているけれど、自宅住所を載せたくないような場合は、バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用し、本店所在地とすることが可能です。
資本金額 会社を設立するうえで出資した資金の総額です。
会社の運転資金であり、取引先や金融機関などからは、会社の安定性・信用度の指標としても注目されます。
発起人の氏名と住所 会社設立の手続きを行う発起人の氏名と住所です。
発起人は、会社設立後は株主として会社の意思決定に関わることになります。

記載事項のうち、事業の目的を設定する際のポイントは2つあります。

・「適法性」「営利性」「明確性」を備えたものにする

事業の目的は、適法性、営利性、明確性を備えたものでなくてはなりません。たとえば、「麻薬の販売」など、違法なものは認められませんし、営利性のないボランティア活動なども認められません。
明確性については、一般人が見て事業内容を理解できるかどうかが基準になります。たとえば、特殊な技術を用いてサービスを提供するような場合でも、一般人が理解できない業界用語や専門用語を使った表現は認められません。

・将来行う可能性のある事業も記載しておく

会社は基本的に、定款に定めた事業目的以外の事業を行うことはできません。そのため、将来行う可能性のある事業があるなら、設立のときから事業の目的に加えておくのがおすすめです。
後から、定款の変更によって加えることもできますが、株式会社の場合は株主総会の特別決議が必要になったり、変更登記の費用がかかったりします。ただし、あまりに事業の目的が多すぎると、融資を受ける際などに信頼を得づらい可能性もあるため、4~5個ほどにまとめるのが一般的です。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に記載しておかないと、その効力が認められない事項です。記載しなくても法的な問題はありません。
株式会社の場合、たとえば次のような金銭関連の事項を相対的記載事項として記載します。

■主な相対的記載事項の項目と内容(株式会社の場合)
記載項目 内容
株券発行の定め 「株券を発行します」という表明です。
これを明記しておかないと、株式会社であっても株券を発行できません。
株式の譲渡制限 株式は自由に譲渡できるのが原則です。制限を課したい場合は、「当会社の発行する株式の譲渡による取得は、取締役の承認を得なければならない」などと株式の譲渡制限を定めておく必要があります。
現物出資 会社設立時の出資をモノで行うことです。
たとえば、今まで事業用として使ってきた個人名義の自動車を会社設立後もそのまま事業用として使いたい場合は、自動車を現物出資する旨を記載する必要があります。
財産引受 発起人が会社設立を条件に、第三者から特定のモノを譲り受ける(購入する)ことです。
たとえば、店舗を譲り受ける場合や、生産設備を譲り受ける場合などは、その旨の記載が必要になります。なお、譲り受ける財産の総額が500万円を超える場合は、検査役の調査が必要になります。
設立費用 発起人が支払ったオフィスの賃料や水道光熱費など、設立事務のために必要な費用です。
定款に記載しておけば、発起人は会社設立後に会社に費用分の請求ができます。ただし、検査役の調査は行われます。
発起人の報酬 会社設立後に発起人に報酬・特別利益を支払う場合は、定款への記載が必要です。
金額が妥当かどうか、検査役の調査が行われます。
役員の任期の伸長 通常、株式会社の役員の任期は2年、監査役の任期は4年です。定款に記載することで、この任期を最長10年まで伸長できます。

任意的記載事項

任意的記載事項は、絶対的記載事項ならびに相対的記載事項に該当せず、かつ違法性のない事項を指します。定款に記載しなくても、ほかの文書などで明確にしておけば効力は発生しますが、定款に記載することでルールが明確になるため、一般的に記載したほうが良いとされています。
株式会社の場合、たとえば次のような事項が任意的記載事項です。

■主な任意的記載事項の項目と内容(株式会社の場合)
記載項目 内容
代表取締役 株式会社を代表する責任者のことです。
代表取締役を定める方法はいくつかありますが、そのひとつが、直接定款に定める方法です。
株主総会の開催時期 定時株主総会の開催時期は、会社法では「毎事業年度の終了後、一定の時期に召集する」との定めがあるのみです。そのため、多くの企業は定款で定めます。
役員報酬の決定方法 役員報酬の決め方を定款に書き込んでおくこともできます。
ただし、変更の際は定款の変更手続きが必要となるので、直接金額を記載することはおすすめしません。
決算公告の方法 株式会社には決算について公に告知する義務があります。
これを決算公告といい、公告方法は官報、日刊新聞紙、電子公告の3種類です。日刊新聞紙か電子公告を選びたい場合は、定款で決算公告の方法を決めておく必要があります。
事業年度 事業年度は任意に定めることができます。
事業年度の終わりが決算月になるので、事業の繁忙期や株主総会などの手間を考えて設定しましょう。

定款のフォーマット

定款は決まった型がなく自由に作成できます。しかし、一から作るのは大変なので、作成の際はフォーマットを利用するのが一般的です。
定款の作成で使いやすいフォーマットとして株式会社と合同会社のそれぞれで紹介します。

株式会社の場合

株式会社は、公証役場で定款の認証を受ける必要があることから、日本公証人連合会でフォーマットが公開されています。「小規模な会社」「中小規模の会社」「中規模な会社」「大規模の会社」の4種類が用意されているので、会社規模に合ったものを選んで活用しましょう。
たとえば、株式非公開で取締役1名のみの会社なら「小規模な会社」が適しています。

合同会社の場合

合同会社とは、有限会社に代わって2006年から設立可能になったもので、出資者と経営者が同一となる会社形態です。株主がいない分、経営の自由度が高くスモールビジネスに向いています。

合同会社は、株式会社のように公証役場で定款の認証を受ける必要がないので、日本公証人連合会に定款のファーマットは用意されていません。代わりとしては、法務局ウェブサイトに掲載されている「合同会社設立登記申請書」や、創業を支援するサイトなどが提供するフォーマットを利用しましょう。

定款認証とは?

定款認証とは、作成した定款が正当な内容であることを公証人が証明することです。
株式会社は、定款を作成したら、公証人に「この定款は正当な手続きにより作成された」と認証してもらう手続きが必要になります。定款が完成したら公証役場の予約をし、認証を受けましょう。

なお、合同会社は定款の認証を受ける必要がありません。ただし、公証人が確認しないため、不備に気づかないまま法務局に提出してしまう可能性があります。できれば、司法書士や行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

定款にかかる費用

株式会社を設立する際には、定款認証を受ける必要があり、その際にいくつかの費用が発生します。主な費用は、公証役場での定款認証手数料、定款謄本手数料、収入印紙代(紙の定款の場合)などです。
これらに加えて、会社設立時には登録免許税(最低15万円)、会社代表印の作成費用なども発生するため、事前に費用を見積もり、スムーズに準備を進めることが重要です。
なお、電子定款とは、紙ではなくPDFなどの電子データ形式で作成された定款のことです。電子署名を付与し、オンラインで公証役場に提出できます。ただし、電子署名や商業登記電子証明書などさまざまな準備が必要なため、多くは司法書士などの専門家に依頼して作成します。

■定款に関連する主な費用
項目 内容
定款認証手数料 定款認証手数料は会社の資本金によって異なり、一般的には3万円から5万円の範囲で設定されています。ただし、資本金が100万円未満で特定の条件を満たす場合には、1万5,000円に軽減される措置があります。
定款謄本手数料 認証を受けた定款の謄本を取得するためには、1枚あたり250円の手数料がかかります。定款は通常8枚前後になるため、約2,000円の費用が必要です。
収入印紙代
(紙の定款の場合)
定款を紙で作成した場合は、収入印紙代として4万円が必要です。しかし、電子定款を利用すれば印紙税は不要となるため、コストを抑えることができます。

会社を設立するなら法人カードを持っておくと便利

会社を設立する際、定款や実印などさまざま準備が必要ですが、法人カードの作成もおすすめです。
行政関連の支払いを含め、クレジットカード決済ができる範囲は徐々に拡大しています。また、法人カードに仕入れ費や経費の支払いを一本化しておけば、利用明細を見るだけでいつ、何に、いくら使ったかが把握できるため、経費管理の手間がかかりません。会計ソフトと連携すれば、利用履歴を自動で取り込み・仕訳してくれるので、会計事務の負担が大幅に軽減され、経費の計上漏れもなくなります。

法人カードは各社からさまざまなものが出ていますが、ビジネスの場で広く利用することを考えると、信頼につながるカードブランド「ダイナースクラブ」がおすすめです。
ダイナースクラブのカードラインナップには、ビジネスに特化した個人カード「ダイナースクラブ ビジネスカード」と、個人向けのダイナースクラブカードに付帯できる経費決済専用の「ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード」があります。

ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネスカードは、個人事業主・法人経営者向けのビジネス専用カードです。法人・団体などの代表者や役員、または個人事業主であればお申し込みいただけます。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次の通りです。

 

・企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある

ダイナースクラブはアメリカで1950年に誕生し、クレジットカード業界をリードしてきたカードです。日本では1961年から発行を開始し、以来、企業の役員、医師や弁護士といった国家資格を有する方など、社会的信用の高い方をメンバーとしてお迎えしてきました。
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。

・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる

ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数ご利用いただけます。
たとえば、会計ソフトの優待サービス、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。

・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる

ダイナースクラブのポイントには有効期限がないため、好きなタイミングでポイントをご利用いただけます。貯めたポイントは、厳選グルメや人気メーカーの家電、ゴルフ用品、各種商品券などに交換可能です。いずれもステータスカードにふさわしい、ワンランク上の賞品がラインナップされています。

・利用可能枠に一律の制限なし

ダイナースクラブのカードは、ご利用可能枠に一律の制限はありません。一人ひとりの利用状況や支払い実績に応じて、個別に設定されます。高額なお買い物の際は事前にご相談いただけるサービスもあります。

・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用でお申し込みができる

ダイナースクラブ ビジネスカードは、申込時に登記事項証明書(登記簿謄本)の提出は必要なく、事業主の信用情報だけでお申し込みができます。法人経営者・個人事業主のどちらでも、お申し込みが可能です。

・充実のビジネス特典がある

加盟店優待「ビジネス・オファー」、会計ソフト「freee」の優待、会員限定の招待イベントなど、ビジネスカードならではの特典も充実しています。

・従業員を含めた経費の一元管理が可能

ダイナースクラブ ビジネスカードは、18歳以上の従業員に対し、追加カードを4枚まで年会費無料で発行可能です(3、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税込)のカード維持手数料がかかります)。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。

■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 基本会員 27,500円(税込)
ポイント換算率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
旅行傷害保険 最高補償額1億円(海外・国内)
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
追加会員 年会費無料(追加カード発行は4枚まで)
※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込)
ETCカード ・基本会員は5枚まで発行可能
・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能
※年会費・カード発行手数料無料
ポイント有効期限 なし
ショッピング保険 購入日より90日間、年間500万円まで

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、法人カードではありませんが、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを経費用と使い分けることで、経費管理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。

・プライベート用と経費用に分けて支払口座の設定が可能

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と経費用に分けた経費の管理が容易になります。

・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出として経費計上できます。年間手数料が所得税の節税につながる場合があるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。

・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでも、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスをご利用いただけます。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。

■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年間手数料 5,500円(税込)
ポイント換算率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
ETCカード カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで
※年会費・カード発行手数料無料
ポイント有効期限 なし
保険 本会員カードと同様の保険適用

※ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード単体の発行はできません。

スムーズな経営を目指すなら法人カードの活用がおすすめ

定款は、会社の形態に関わらず、会社設立の際に必ず作成しなければならない書類です。不備があれば設立手続きが進まなかったり、あとで内容を変更するのに費用がかかったりするため、最初からきちんと作成しておくことが大切です。

会社設立後のスムーズな運営を考えるなら、支払いを一本化することで会計事務負担を大幅に減らせる、法人カードの活用がおすすめです。会計ソフトと連携しておけば、うっかり経費を計上し忘れる心配もありません。

さまざまな法人カードの中でも、ダイナースクラブの法人カードは、信用につながる高いステータスを持ち、ビジネスに役立つ特典・サービスが付帯した、使い勝手のいいクレジットカードです。JALオンラインのインターネット予約サービスや会計ソフトとの連携など、ビジネスに役立つサービスが充実。個人の信用のみで審査を受けられる魅力もあります。
ビジネスに寄り添うダイナースクラブのビジネスカードをぜひお手元に。

※本記事の内容は、2025年2月現在の情報をもとに制作しています。

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