株式会社と合同会社の違いとは?メリット・デメリットと選び方

「会社設立」といえば株式会社を連想しがちですが、会社の形態は株式会社だけではありません。 副業で会社を設立する場合や、専業でも1人会社の場合は、株式会社より合同会社が適している場合もあります。
ここでは、株式会社と合同会社の違いとそれぞれのメリット・デメリット、適した会社形態を選ぶためのポイントについて解説します。
目次
株式会社と合同会社の違い
株式会社と合同会社の根本的な違いは、会社の所有者(株主や出資者)と経営を担う人(経営者や役員)が、同じ人たちかどうかです。
株式会社は、基本的に所有者と経営を担う人は異なり、所有と経営は分離しています。一方の合同会社では、基本的には所有者と経営を同じ人が担います。
■会社の所有者と経営者の関係

株式会社と合同会社の主な違いについてまとめると、次の通りです。
■株式会社と合同会社の主な違い
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
会社の所有者 | 株主や出資者 | 各社員 |
経営者 | 取締役(株主総会で選出される) | 業務執行社員(選任しない場合は全社員) |
会社の代表者 | 代表取締役 | 各社員(代表社員を決めることも可能) |
意思決定機関 | 株主総会 | 社員総会 |
役員任期 | 最長10年 | 任期なし |
監査役の人数 | 1人以上 | 不要 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
定款 | 作成後、公証人による認証が必要 | 定款の作成は必要だが、公証人による認証は不要 |
出資者への利益配分 | 出資割合に応じる | 定款で自由に決定できる |
株式の発行 | できる | できない |
設立費用 | 約22万円~ | 約10万円~ |
株式会社の特徴
株式会社は、株式を発行して投資家から資金を集め、集まった資金を元手として事業を営む会社のことです。出資した投資家は会社の「株主」となり、利益の分配を受ける権利を得るとともに株主総会での議決権を得て、いわば会社のオーナーになります。株式会社の経営者は、株主総会によって選ばれ、株主からの委任を受けなければその職につくことができません。このように株式会社は、所有と経営が分離しているのが特徴です。
なお、株式会社の出資者と経営者が同一人物であってはいけないという法律はありません。株式会社の中には、1人が100%出資してすべての株式を持ち、経営者を兼ねている会社も存在します。
合同会社の特徴
合同会社は、2006年の会社法改正で誕生した会社で、出資者と経営者が一致しているのが特徴です。合同会社は、出資者のすべてが業務執行権を持っており、会社の経営に携わることができます。合同会社の出資者は、会社の所有者であり、かつ経営者でもあるわけです。
合同会社の出資者は「社員」と呼ばれ、原則としてすべての社員に代表権と業務執行権があります。
株式会社と合同会社、それぞれのメリット・デメリット
株式会社と合同会社は、それぞれを比較した際、各メリット・デメリットがちょうど裏返しの関係になります。一覧表にまとめると次の通りです。
■株式会社と合同会社を比較した場合の主なメリットとデメリット
※緑…株式会社にメリットがある/青…合同会社にメリットがある
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
社会的信用 | 広く認知されており、社会的信用が高い。 人材採用や大手企業との取引、融資を受けるなどの場面で、合同会社より有利といえる |
株式会社に比べると認知度が低く、社会的信用度も低め。 大企業との取引の際などには、不利になる可能性がある |
資金調達 | 株式を発行しての資金調達が可能。出資者が出資した金銭以上の責任を負うこともないため、資金を集めやすい | 株式を発行できないので、株式会社に比べて資金調達の方法が制限される。 主な資金調達方法は、金融機関からの借入、国や自治体の助成金・補助金など |
権利譲渡・相続・事業承継 | 株式を譲渡することで利益の分配を受ける権利および株主総会での議決権を他者に譲れるので、権利譲渡が容易。相続や事業承継もスムーズに行える | 社員すべての合意がないと社員の持分の一部または全部の譲渡ができないため、相続や事業承継が難しい |
経営の混乱 | 保有する株式数に応じて株主総会での議決権が付与されるので、株主が対立したとしても経営の混乱が起こりにくい | すべての社員が経営権をもつため、社員同士の意見が対立すると、結論が出ず、経営の混乱を招く可能性がある |
上場 | 将来的に上場することも可能 | 株式を発行しないので、上場できない |
設立費用 | 合同会社に比べて設立費用が高い。 登録免許税として最低でも15万円かかるのに加え、定款の収入印紙代4万円、定款の公証を受けるための認証手数料が3万~5万円ほどかかり、設立には合計で22万円以上は必要になる |
株式会社より設立費用が低い。 登録免許税6万円に、定款の収入印紙代4万円の合計10万円の費用で設立できる。また、合同会社も定款の作成は必要だが、定款の認証を受ける必要はない |
経営の意思決定 | 株式会社の最高意思決定機関は株主総会であり、重要な決定をする際は、株主総会を開催して一定数の賛同を得る必要がある。そのため、意思決定には時間がかかりがち | 出資者が経営者であり、第三者が意思決定の場に関わらないので、スピーディーな意思決定が可能 |
利益分配 | 出資額に応じて利益配分が決まる。「出資額は少ないけれど、会社への貢献度が高い出資者を優遇する」といったことはできない | 出資比率に関わらず、定款によって利益配分を自由に決められる。出資額以外の要素を重視して、利益配分を決めることも可能 |
決算公告の義務 | 毎年必ず決算公告(※)を行う義務があり、決算公告を官報に掲載するのに7万円程度かかる。電子公告の場合も、1万円程度かかる | 決算公告の義務はなく、掲載費用もかからない |
役員の任期 | 株式会社の取締役の任期は通常2年、最長でも10年(非公開の株式会社の場合)。役員の新任や重任があった場合は、変更登記が必要 | 合同会社には、株式会社のような役員の任期はない。そのため、役員の変更登記にかかる登録免許税も不要 |
※決算公告とは、不測の事態を避けて取引の安全を保つことを目的に、会社の経営成績や財務状態などを明らかにすることを指す
会社形態を決めるポイント
株式会社と合同会社は性質が異なるだけで、どちらが優れているというものではありません。どちらの形態にするかは、事業内容や事業の規模、上場を目指すかどうかなどによって決めるのがおすすめです。
なお、どちらを選んでも、あとからもう一方へ組織変更することができます。
株式会社と合同会社のどちらが適しているのか、会社形態を決める主なポイントについて解説します。
株式会社が適しているケース
一般的に、以下のようなケースでは、株式会社が適しているといえます。
・主な取引先が大企業
主にBtoB取引が中心、中でも大企業との取引が多い場合は、会社の社会的信用が重要となるため、株式会社が適しているといえます。
・社会的信頼を得て取引先の開拓や優秀な人材の採用をしたい
企業相手に新規の取引先を拡大したい場合や、優秀な人材の採用を目指す場合も、社会的に知名度が高い株式会社が向いています。
・株式発行による資金調達を行いたい
多額の資金調達が必要で、第三者から資金を募りたい場合は、株式が発行できる株式会社が適しています。
・上場を見据えている
上場は株式会社でないとできないので、将来的に上場を見据えている場合は、株式会社を選択しましょう。
・「代表取締役社長」の肩書が必要
株式会社の代表権を持つ人は「代表取締役社長」であるのに対し、合同会社でその他社員から代表権を与えられた人は「代表社員」の肩書になります。「代表取締役社長」の肩書が必要な場合は、株式会社を選びましょう。
合同会社が適しているケース
一方で、以下のようなケースでは合同会社を選ぶのがおすすめです。
・主な取引先が個人消費者
主な取引先が個人消費者の場合、多くは会社形態を気にしないので、高い設立費用がかかる株式会社を設立するメリットがあまりありません。
・設立費用を抑えたい
株式会社の設立費用は合同会社に比べて10万円以上高いので、設立費用を抑えたいなら、合同会社にするのがおすすめです。
・事業規模が小さく、大きくするつもりもない
副業として事業を運営している、専業個人事業主だが事業従事者は自分だけでこれ以上増やすつもりもないという場合は、意思決定がスムーズに行え、設立費用も低い合同会社が向いているといえます。合同会社は役員任期がないので、維持費用も節約できます。
・節税のために法人化したい
副業をしている会社員や1人で事業を営む経営者が節税のために法人を設立する場合は、設立・維持コストが抑えられる合同会社が適しています。合同会社化すれば、個人として事業を営む場合と違い、事業主への役員報酬に給与所得控除が適用されるといったメリットがあります。
・許可取得のために法人化したい
建設業許可や労働者派遣事業許可など、個人事業主でも取得可能ではあるものの、法人であったほうが取得しやすい許可があります。そのような場合は、株式会社に比べて設立・維持コストが低い合同会社が適しています。
・経営の自由度を重視したい
合同会社は社員総会で会社の経営方針を決められるので、重要な決定には株主総会の招集・決議が必要な株式会社に比べれば、経営の自由度が高くなります。そのため、経営の自由度を尊重したい場合は、合同会社がおすすめです。たとえば、大手ECサイトのAmazonや世界的IT企業Googleの日本法人は、いずれも合同会社を選択しています。
株式会社・合同会社のどちらでも、経理事務の負担軽減には法人カードが便利

株式会社・合同会社のどちらを選んでも、会社設立後、事業年度終了日翌日から2ヵ月以内に確定申告を行い、法人税や法人住民税を納めなくてはなりません。そして、確定申告は毎年続きます。
確定申告を行うには、前提として売上・仕入れ・経費などを正確に把握する必要があり、そのためには日々の取引の記帳が必要です。しかし、このような経理事務には大きな負担がかかります。この負担を軽減するために効果的なのが、法人カードを活用することです。
法人カードを持ち、仕入れ・経費の決済を法人カードに一本化しておけば、利用明細書をチェックするだけで支出の確認が可能です。さらに、会計ソフトと連携することで、自動で取引履歴の取り込み・仕訳もでき、経理事務の削減につながります。加えて、経費の計上漏れがなくなるため、余計な税金を支払わずに済むメリットもあります。
法人カードにはさまざまなものがありますが、信頼につながるカードブランド「ダイナースクラブ」がおすすめです。
ここでは、法人・個人事業主向けの「ダイナースクラブ ビジネスカード」と、個人向けのダイナースクラブカードに付帯できる、経費決済専用の「ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード」について、それぞれの特徴をご紹介します。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴
ダイナースクラブ ビジネスカードは、個人事業主・法人経営者向けのビジネス専用カードです。法人・団体などの代表者や役員、または個人事業主であればお申し込みいただけます。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次の通りです。

・企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある
ダイナースクラブはアメリカで1950年に誕生し、クレジットカード業界をリードしてきたカードです。日本では1961年から発行を開始し、以来、企業の役員、医師や弁護士といった国家資格を有する方など、社会的信用の高い方をメンバーとしてお迎えしてきました。
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。
・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる
ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数ご利用いただけます。
たとえば、会計ソフトの優待サービス、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。
・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる
ダイナースクラブのポイントには有効期限がないため、好きなタイミングでポイントをご利用いただけます。貯めたポイントは、厳選グルメや人気メーカーの家電、ゴルフ用品、各種商品券などに交換可能です。いずれもステータスカードにふさわしい、ワンランク上の賞品がラインナップされています。
・利用可能枠に一律の制限なし
ダイナースクラブのカードは、ご利用可能枠に一律の制限はありません。一人ひとりの利用状況や支払い実績に応じて、個別に設定されます。高額なお買い物の際は事前にご相談いただけるサービスもあります。
・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用でお申し込みができる
ダイナースクラブ ビジネスカードは、申込時に登記事項証明書(登記簿謄本)の提出は必要なく、事業主の信用情報だけでお申し込みができます。法人経営者・個人事業主のどちらでも、お申し込みが可能です。
・充実のビジネス特典がある
加盟店優待「ビジネス・オファー」、会計ソフト「freee」の優待、会員限定の招待イベントなど、ビジネスカードならではの特典も充実しています。
・従業員を含めた経費の一元管理が可能
ダイナースクラブ ビジネスカードは、18歳以上の従業員に対し、追加カードを4枚まで年会費無料で発行可能です(3、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税込)のカード維持手数料がかかります)。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。
■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 | 基本会員 27,500円(税込) |
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ポイント換算率 | 100円につき1ポイント ※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
旅行傷害保険 | 最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
追加会員 | 年会費無料(追加カード発行は4枚まで) ※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込) |
ETCカード | ・基本会員は5枚まで発行可能 ・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能 ※年会費・カード発行手数料無料 |
ポイント有効期限 | なし |
ショッピング保険 | 購入日より90日間、年間500万円まで |
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、法人カードではありませんが、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを事業用と使い分けることで、経費管理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。
・プライベート用と事業用に分けて支払口座の設定が可能
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と事業用に分けた経費の管理が容易になります。
・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出として経費計上できます。年間手数料が所得税の節税につながるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。
・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでも、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスをご利用いただけます。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。
■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年間手数料 | 5,500円(税込) |
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ポイント換算率 | 100円につき1ポイント ※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
旅行傷害保険 | 最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
ETCカード | カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで ※年会費・カード発行手数料無料 |
ポイント有効期限 | なし |
ショッピング保険 | 購入日より90日間、年間500万円まで |
※ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード単体の発行はできません。
法人カードを活用することで経理事務の手間を軽減しよう
株式会社と合同会社の決定的な違いは、所有と経営が分離しているか、一致しているかです。合同会社は、株式会社に比べて社会的信用が低い、株式が発行できない分資金調達手段が限られるといったデメリットはありますが、設立費用を抑えられる、経営の意思決定がスピーディーに行えるといったメリットもあり、副業として事業を運営している場合や、一人会社の場合には適した会社形態といえます。
株式会社でも合同会社でも、法人は年に1度確定申告を行わなくてはならず、申告に備えて仕入れ費用・経費を把握しておくことが大切です。その点、法人カードに仕入れ・経費の決済を一本化し、会計ソフトと連携しておけば、記帳や仕訳の手間がかからず、経費の計上漏れも防ぐことができます。さまざまな法人カードの中でも、ダイナースクラブのビジネスカードは、信用につながる高いステータスを持ち、ビジネスに役立つ特典・サービスが付帯した、使い勝手の良いカードです。
カードの特典としては、JALオンラインのインターネット予約サービスや会計ソフトとの連携など、ビジネスに役立つ特典が充実。個人の信用のみで審査を受けられる魅力もあります。
ビジネスに寄り添うダイナースクラブのビジネスカードをぜひお手元に。
※本記事の内容は、2025年1月現在の情報をもとに制作しています。