副業は雑所得になる?確定申告が必要なケースと提出書類も解説

更新日:2024年10月15日

副業で得た所得で確定申告を行う際、所得区分としてよく使われるのが雑所得です。しかし、雑所得とはどのような所得のことを指すのか、所得区分によってどのような違いがあるのかわからない人もいるのではないでしょうか。
ここでは、雑所得で確定申告が必要なケースや、確定申告に必要となる書類などを解説します。

雑所得とは、ほかの所得にあてはまらない所得のこと

所得税法上、所得は10種類に区分されています。副業で得た所得が、次の表で紹介している9種類の所得のいずれにもあてはまらない場合、この雑所得に分類されます。
なお、所得とは、収入から必要経費を差し引いた額のことです。必要経費は、事業を営む上で必要な支出のことで、たとえば、オフィスの家賃や事業用パソコンの購入費、出張交通費などが該当します。所得税や住民税の額は、この「所得」をもとに計算するため、所得金額はとても重要といえます。

■所得区分の名称と内容
名称 内容
雑所得 下記の9種類の所得の、いずれにもあてはまらない所得
利子所得 預貯金や公社債などの利子、公社債投資信託や貸付信託などの分配金による所得
配当所得 株主や出資者が法人から受け取る配当、余剰金の分配などによる所得
不動産所得 土地や建物、借地権などの不動産上の権利、船舶や航空機などの貸し付けなどによる所得
事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業などから生じる所得(不動産の貸し付けや山林所得、譲渡所得に該当する所得を除く)
給与所得 勤務先から受け取る給与や賞与などの所得
退職所得 退職により勤務先から受ける退職手当などの所得
山林所得 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡したりすることで生じる所得
譲渡所得 土地や建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡した場合に生じる所得
一時所得 利子所得から譲渡所得のどれにも該当せず、営利目的の継続的行為から生じた所得以外で、何らかの対価としての性質を持たない所得(例えば、生命保険の満期保険金、懸賞の当せん金、競馬等の払戻金など)

※国税庁「 No.1300 所得の区分のあらまし

雑所得は大きく3種類に分けられる

雑所得は、以下に紹介する「公的年金等の雑所得」、「業務に係る雑所得」、「そのほかの雑所得」の3種類に分けられます。雑所得を計算する際は、この3つの雑所得を合計して求めます。

■雑所得の計算

公的年金等の雑所得

公的年金等の雑所得とは、国の年金制度にもとづいて給付される公的年金等から公的年金等控除額を差し引いた所得のことです。公的年金等とは、主に次のような年金などを指します。

<雑所得となる公的年金等の例>

業務に係る雑所得

業務に係る雑所得とは、副業での収入のうち、営利を目的とした継続的な収入から必要経費を差し引いた所得のことです。副業の規模にもよりますが、副業の所得の多くはこの雑所得に該当します。営利を目的とした継続的な収入とは、次のような収入を指します。

<雑所得となる収入の例>

そのほかの雑所得

そのほかの雑所得とは、「公的年金等の雑所得」や「業務に係る雑所得」にあてはまらない収入から必要経費を差し引いた所得のことです。個人年金など、公的年金控除が適用されない私的年金や、事業ではない仮想通貨や先物取引、株取引の利益といった収入が該当します。これらの総収入金額から必要経費を差し引いたものが、そのほかの雑所得です。

雑所得と事業所得、一時所得の違いは?

会社員の副業は多くの場合、事業規模などから雑所得になりますが、事業所得や一時所得に分類されることもあります。雑所得と事業所得、一時所得には、次のような違いがあります。

雑所得と事業所得の違い

一般的に、雑所得と事業所得の違いは事業規模です。社会通念上、会社員が副業として本業よりも小さな規模(本業の10分の1未満)で行っている程度であれば雑所得、事業の売上で生活ができるほどの規模であれば事業所得とされることが多くあります。
具体的には、その事業(副業)が独立・継続・反復して行われる仕事で、帳簿書類を保存している場合は事業所得です。ただし、帳簿書類を保存していなくても、概ね3年程度収入金額が300万円を超えていたり、赤字を解消する取り組みを行っていたりする場合は事業所得に該当することもあり、さまざまな要素から総合的に判断されます。
副業で得た所得が雑所得か事業所得か判断する場合、次のチャートを参考にしてください。

■副業が雑所得か事業所得か判断するフローチャート

また、雑所得と事業所得の違いとしてもうひとつ、確定申告の方法があります。雑所得は白色申告しか選べませんが、事業所得であれば、青色申告も可能です。青色申告は税制優遇が多かったり、給与所得との損益通算ができたりするといったメリットがあります。

雑所得と一時所得の違い

雑所得と一時所得の違いは、収入の継続性と特別控除の有無です。一時所得と雑所得は、所得区分の利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得のいずれにもあてはまらない点は共通しています。しかし、一時所得は営利目的でなく、継続性がなく、労務や役務、資産譲渡の対価でない場合にあてはまる所得です。例えば、宝くじの当選金や生命保険の満期返戻金などは一時所得になります。
そして、一時所得の条件にあてはまらない場合に、雑所得として区分されます。例えば、1回限りの講演に対する報酬は一時所得のように思えますが、営利目的であることと、役務に対する対価である点が一時所得の条件を満たさないので、区分は雑所得です。
また、一時所得には最大50万円の特別控除があります。総収入金額から収入を得るために支出した金額と特別控除額を差し引いた金額が、一時所得の金額です。

雑所得が20万円以下でも確定申告したほうがいいケース

年末調整を受けている会社員の場合、確定申告が必要になるのは、雑所得など給与以外の所得が年間20万円を超えたときです。年間の給与以外所得が20万円以下なら確定申告は不要ですが、副業などの報酬から源泉徴収が行われているのであれば、20万円以下でも確定申告を行ったほうがいいといえるでしょう。
個人に対して支払われる原稿料や講演料、税理士などの士業が受け取る報酬は、報酬を支払う事業者が支払いの際にあらかじめ所得税などを差し引いて国に納付する「源泉徴収」が行われています。源泉徴収では経費などが差し引かれてはいないため、確定申告で正しい所得を申告することで、納めすぎた税金が還付される可能性があります。
個人に対する報酬から源泉徴収が行われるのは、主に以下のような報酬が対象です。

<源泉徴収が行われる報酬の例>

確定申告に必要な書類

2022年分から、前々年度の収入金額によって確定申告に必要な書類の保存義務などが変わりました。提出書類も、前々年度の副業による雑所得の金額によって異なるため、どの書類が必要なのかをしっかり確認しておきましょう。
ここでは、雑所得での収入金額別で、確定申告に必要な書類を解説します。

前々年分の雑所得の収入金額が300万円以下の場合

前々年分の雑所得の収入金額が300万円以下の場合は、確定申告書のほか以下で紹介する基本的な書類が必要です。申告書の作成に必要な書類を準備して確定申告書に必要事項を記載し、本人確認書類を添えて税務署に郵送またはe-Taxで申告しましょう。

<確定申告に必要となる基本的な書類>

なお、前々年分の雑所得の収入金額が300万円以下の場合、希望することで「現金主義の特例」を受けることができます。現金主義の特例とは、雑所得の収入や経費とする金額を、通常は「発生主義(取引が発生したタイミング)」で売上や費用を計上するところを、「現金主義(実際に金銭の動きがあったタイミング)」で計上できるという特例です。現金主義の特例を受ける場合は、確定申告書に特例を受ける旨を記載する必要があります。

前々年分の雑所得の収入金額が300万円超1,000万円以下の場合

前々年分の雑所得の収入金額が300万円超1,000万円以下の場合、300万円以下の場合と同じで、確定申告書のほか、本人確認書類など基本的な書類が必要です。ただし、領収書や請求書、契約書など、取引に関して作成または受領した書類を5年間保存する必要があります。

前々年分の雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合

前々年分の雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合は、確定申告書のほか、本人確認書類など基本的な書類に加えて、総収入金額や必要経費の内容を記載した収支内訳書等の提出が必要です。収支内訳書を作成するために、日ごろから取引を記帳しておく必要も生じます。
また、領収書や請求書、契約書など、取引に関して作成または受領した書類は、5年間保存する必要があります。

事業用クレジットカードの活用で副業の確定申告がスムーズに

副業が雑所得にあてはまり、その所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。20万円を超えないとしても、源泉徴収されていれば税金が還付される可能性があるため、確定申告をしたほうがいいといえます。

確定申告をするには、収入や支出した経費を正確に把握しておくことが大切です。経費を正確に把握する方法としておすすめなのが、事業用クレジットカードを持ち、仕入れ・支払いの決済をこのカードに一本化することです。カードの利用明細書を見れば、支出の状況が把握できます。経費の計上漏れなどのミスも発生しにくくなり、経理事務がスムーズになります。また、会計ソフトと連動すれば、手入力での帳簿付けも必要なくなるので、面倒な記帳も簡単です。

副業用のクレジットカードを探すなら、周囲からの信用につながるステータスカードであり、年会費サービス・特典のバランスが良いカードでもある、三井住友トラストクラブのクレジットカードがおすすめです。三井住友トラストクラブが発行する、ダイナースクラブ ビジネスカードとダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード、それぞれの特徴をご紹介しましょう。

ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネスカードは、個人事業主・法人経営者向けのビジネス専用カードです。法人・団体などの代表者や役員、または個人事業主であればお申し込みいただけます。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次の通りです。

 

・企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある

ダイナースクラブはアメリカで1950年に誕生し、クレジットカード業界をリードしてきたカードです。日本では1961年から発行を開始し、以来、企業の役員、医師や弁護士といった国家資格を有する方など、社会的信用の高い方をメンバーとしてお迎えしてきました。
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。

・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる

ダイナースクラブカードで利用できるサービスにプラスして、さらにビジネスに役立つ優待特典も多数ご利用いただけます。
たとえば、会計ソフトの優待サービス、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。

・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる

ダイナースクラブ ビジネスカードは、ポイントに有効期限がないため、好きなタイミングでポイントをご利用いただけます。貯めたポイントは、厳選グルメや人気メーカーの家電、ゴルフ用品、各種商品券などに交換可能です。いずれもステータスカードにふさわしい、ワンランク上の賞品がラインナップされています。

・利用可能枠に一律の制限なし

ダイナースクラブ ビジネスカードは、ご利用可能枠に一律の制限はありません。一人ひとりの利用状況や支払い実績に応じて、個別に設定されます。高額なお買い物の際は事前にご相談いただけるサービスもあります。

・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用でお申し込みができる

ダイナースクラブ ビジネスカードは、申込時に登記事項証明書(登記簿謄本)の提出は必要なく、事業主の信用情報だけでお申し込みができます。法人経営者・個人事業主のどちらでも、お申し込みが可能です。

・充実のビジネス特典がある

加盟店優待「ビジネス・オファー」、会計ソフト「freee」の優待、会員限定の招待イベントなど、ビジネスカードならではの特典も充実しています。

・従業員を含めた経費の一元管理が可能

ダイナースクラブ ビジネスカードは、18歳以上の従業員に対し、追加カードを4枚まで年会費無料で発行可能です(3、4枚目は1枚あたり年間5,500円(税込)のカード維持手数料がかかります)。従業員を含めた経費の一元管理が可能になり、出張費の精算や仮払いの手間も省けます。

■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 27,500円(税込)
ポイント付与率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
旅行傷害保険 最高補償額1億円(海外・国内)
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
追加会員 年会費無料(追加カード発行は4枚まで)
※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込)
ETCカード ・基本会員は5枚まで発行可能
・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能
ポイント有効期限 なし
ショッピング保険 購入日より90日間、年間500万円まで

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの特徴

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、法人カードではありませんが、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加で申し込める経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主でも利用でき、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを事業用と使い分けることで、経費管理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。

・プライベート用と事業用に分けて支払口座の設定が可能

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードと、本会員カードとなるダイナースクラブカードとで、別々の支払口座の設定が可能。法人口座の設定もでき、利用代金明細書も別になるため、プライベート用と事業用に分けた経費の管理が容易になります。

・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの年間手数料は、事業に関わる支出として経費計上できます。年間手数料が所得税の節税につながるため、お得なクレジットカードといえるでしょう。
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。

・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードでも、JALオンラインのインターネット予約サービスなど、ビジネスに役立つサービスをご利用いただけます。さまざまなビジネスシーンにお役立てください。

■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年会費 5,500円(税込)
ポイント付与率 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント
旅行傷害保険 最高補償額1億円(海外・国内)
国際ブランド ダイナースクラブ(Diners Club)
ETCカード カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで
※年会費・カード発行手数料無料
ポイント有効期限 なし
ショッピング保険 購入日より90日間、年間500万円まで

※ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード単体の発行はできません。

副業の経費管理に事業用クレジットカードを活用しよう

副業の所得が雑所得に該当する場合、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。確定申告書の作成には、副業の収入・経費による支出などをきっちりと把握しておくことが大切です。事業用クレジットカードに仕入れや経費の決済を一本化しておけば、費用管理が非常に簡単になります。

確定申告の手間削減に役立つビジネスカードにはさまざまな種類があり、どのカードを選ぶか迷うかもしれません。ビジネスカードを選ぶ際に重要な要素のひとつはステータスです。ステータスの高いクレジットカードを持っているということは、安心できるビジネスを展開している証でもあります。ダイナースクラブは、1950年に米国・ニューヨークのレストランで生まれ、日本で最初のクレジットカードを発行した国際ブランド。安心して使えること、さまざまなサービスが支持されていることなどは、60年以上の歴史が証明しています。

ダイナースクラブ ビジネスカードは、JALオンラインのインターネット予約サービスや会計ソフトとの連携など、ビジネスに役立つ特典が充実。法人でも申し込みに登記事項証明書等が不要で、個人の信用のみで審査を受けられる魅力もあります。
ビジネスに寄り添うダイナースクラブカードをぜひお手元に。

※本記事の内容は、2024年8月現在の情報をもとに制作しています。

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