所得税をクレジットカードで納付する方法は?メリットや注意点も解説

個人事業主が確定申告によって納める所得税は、クレジットカードでも納付が可能です。
時間や場所を問わずに納付できるためとても便利ですので、今後活用できるように、方法を押さえておきましょう。
ここでは、クレジットカードで所得税を納付する方法と納付の際の注意点のほか、クレジットカード決済で生じた費用の会計処理についても解説します。また、事業用のクレジットカードとしておすすめのステータスカードについても紹介します。
<目次>
所得税はクレジットカードで納付できる

所得税は「 国税クレジットカードお支払いサイト」を利用すればクレジットカードで納付できます。なお、金融機関やコンビニエンスストア、税務署の窓口では、クレジットカードによる納付はできないので注意しましょう。
「国税クレジットカードお支払いサイト」で利用できるクレジットカードは、次の国際ブランドのカードとトヨタファイナンスが発行するTS CUBIC CARDです。
- ・ダイナースクラブ
- ・Visa
- ・Mastercard®
- ・JCB
- ・アメリカン・エキスプレス
「国税クレジットカードお支払いサイト」での納付手続きの流れ
「国税クレジットカードお支払いサイト」で納付手続きを行う流れは次のとおりです。
<納付手続きの流れ>
- 1. トップ画面で注意事項を確認し「同意する」を選び、納付情報の入力画面を開く
- 2. 納付情報の入力画面で利用者の住所や氏名、納付先の税務署、納める税金の種類、納付税額などを入力して「次へ」を押す
- 3. クレジットカードの情報入力画面に情報を入力して最終確認を行い、「納付」ボタンを押せば完了
「国税クレジットカードお支払いサイト」にはe-Taxからのアクセスも可能
e-Taxを利用して確定申告をした場合は、e-Taxのメッセージボックスに届く受信通知に、「国税クレジットカードお支払いサイト」へのリンクがあるので、そちらからアクセスします。
納付手続きの流れはe-Taxを経由しない場合と同じですが、税金の種類や課税期間、申告区分等の情報はe-Taxから引き継がれるので、自分で入力する必要がなく便利です。
所得税をクレジットカードで納付するメリット
■所得税をクレジットカードで納付するメリット

時間と場所を選ばず納付できる
所得税は、金融機関や税務署、コンビニエンスストアで納付することができます。しかしそれぞれの場所まで足を運ぶ必要があり、うっかり行きそびれてしまうこともあるでしょう。クレジットカードによる納付なら、預金口座からの口座振替と同じく、時間と場所を選ばず好きな時に納付できますし、窓口に足を運ぶ手間もかかりません。
ポイントが貯まる
時間と場所を選ばない納付方法としては、クレジットカードの利用以外に、e-Taxでの操作で預貯金口座から引き落とす、インターネットバンキングを利用する、スマートフォンの決済アプリを利用するといった方法もあります。これらの方法とクレジットカード納付の違いは、クレジットカードで納付すれば、納付額に応じたポイントが貯まることです。貯まったポイントは、マイルや各種アイテムと交換したり、キャッシュバックを受けられたりするのでお得です。
なお、何円に付き何ポイント貯まるかは、カード会社の規定によって決まります。
支払回数が選べる
一括払いのほか、リボ払いと分割払い(3回、5回、6回、10回、12回)が選べますが、利用するクレジットカードによって選択できない場合がありますので、注意しましょう。
また、納付手続き完了後に回数の変更はできませんが、クレジットカードによっては納付手続き時に一括払いにしていた場合、後から支払回数を変更したりリボ払いにしたりできるものもあります。なお、リボ払いや分割払いにした場合、クレジットカード規定の手数料が発生します。
所得税をクレジットカードで納付する場合の注意点
決済手数料がかかる
■クレジットカード納付による決済手数料
納付税額 | 決済手数料(税抜) |
---|---|
1円~1万円 | 76円 |
1万1円~2万円 | 152円 |
2万1円~3万円 | 228円 |
3万1円~4万円 | 304円 |
4万1円~5万円 | 380円 |
以降も、1万円を超えるごとに76円(税抜)が加算 |
ポイント換算率が通常と異なる
通常は100円につき1ポイントでも、税金納付分については、200円で1ポイントという場合もあるので、注意が必要です。ポイント付与の条件はクレジットカードによって異なりますので各社のウェブサイトなどで確認してみましょう。
領収証書が発行されない
クレジットカード納付の可能額に規定がある
税額が1,000万円を超える場合、国税は納付期日や税金の種類が同じであれば、納付手続きを複数回行うことで、納めることが可能です。しかし、1,000万円未満だとしても、クレジットカードの利用可能枠を超える場合は、全額を納めることができません。たとえば税額が300万円だとして、利用可能枠が200万円だった場合はクレジットカードによる納付ができないということになります。
ただし、クレジットカードによっては、税金の納付に限り利用可能枠を広げることができるものや、ダイナースクラブ ビジネスカードのように、一律の制限を設けず、個別にカードの利用可能枠を設定するものもあります。
所得税は経費に計上できない
クレジットカードで納付できる税金の種類
クレジットカードで納付できる税金は次のとおりです。
<「国税クレジットカードお支払いサイト」から納付できる税金の種類>
- ・申告所得税及び復興特別所得税
- ・消費税及び地方消費税
- ・法人税(連結納税を含む)
- ・地方法人税(連結納税を含む)
- ・相続税
- ・贈与税
- ・源泉所得税及び復興特別所得税
- ・源泉所得税
- ・申告所得税
- ・復興特別法人税(連結納税を含む)
- ・消費税
- ・酒税
- ・たばこ税
- ・たばこ税及びたばこ特別税
- ・石油税
- ・石油石炭税
- ・電源開発促進税
- ・揮発油税及び地方道路税
- ・揮発油税及び地方揮発油税
- ・石油ガス税
- ・航空機燃料税
- ・登録免許税(告知分のみ)
- ・自動車重量税(告知分のみ)
- ・印紙税
なお、住民税などの地方税は、納付先の地方自治体がクレジットカード納付に対応していれば納付が可能です。
道府県税は、ほとんどの場合クレジットカード納付に対応していますが、市区町村では対応していない場合もあります。お住まいの地域の市区町村が対応しているかどうかは、各自治体のウェブサイトなどでご確認ください。
クレジットカード決済分の会計処理
次で紹介するとおり、プライベート用のクレジットカード(プライベートで利用している預金口座が支払口座になっているカード)で支払った場合と、事業用のクレジットカード(事業用の預金口座が支払口座になっているカード)で支払った場合では、処理の方法が異なります。
プライベート用のクレジットカードを使った場合
たとえば、5月15日にプリンタのインク代5,000円をクレジットカードで支払い、6月10日にカードの利用料金が預金口座から引き落とされた場合は、以下のような仕訳になります。
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
5月15日 | 消耗品費 | 5,000 | 事業主借 | 5,000 |
事業用クレジットカードを使った場合
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
5月15日 | 消耗品費 | 5,000 | 未払金 | 5,000 |
6月10日 | 未払金 | 5,000 | 普通預金 | 5,000 |
確定申告の際の注意点
ポイントを利用して経費を支払ったら値引きまたは雑収入として処理する
クレジットカード決済で付与されたポイントを利用したら、値引きか雑収入として処理します。なお、ポイントが付与された際は、とくに会計処理の必要はありません。利用した場合について、会計処理が必要になります。
ポイント分だけ値引きをした場合は、「値引きがあった」として値引きとして処理するか、「ポイント相当分の収入を得た」と考えて雑収入として処理します。たとえば、5月15日に1万円の消耗品を購入した際、2,000円分をポイントで、8,000円分を事業用クレジットカードで支払ったとします。カードの支払日が6月10日という場合の仕訳は、次のとおりです。
なお、どちらで処理しても問題はありませんが、どちらか一方に統一しておいたほうがよいでしょう。
■値引きとして処理する場合
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
5月15日 | 消耗品費 | 8,000 | 未払金 | 8,000 |
6月10日 | 未払金 | 8,000 | 普通預金 | 8,000 |
■雑収入として処理する場合
借方 | 貸方 | |||
---|---|---|---|---|
5月15日 | 消耗品費 | 10,000 | 未払金 | 10,000 |
6月10日 | 未払金 | 10,000 | 普通預金 | 8,000 |
雑収入 | 2,000 |
レシートや利用明細書を保管しておき経費処理に使う
領収書とは「代金を受領したことを証明する書類」です。クレジットカードによる決済は、その場で代金のやり取りは行われていませんので、領収書は発行されません。
そこで、クレジットカードを利用した場合の経費処理には、利用明細書やレシートを使います。また、クレジットカード会社が発行する請求明細書(利用代金明細書など)は、経費決済をした証拠書類になります。
■クレジットカード決済による領収書について詳しく知りたい方はこちらをご参照ください
クレジットカード決済で領収書は不要?収入印紙がいらない理由も解説事業用クレジットカードにおすすめ
ダイナースクラブ ビジネスカード/ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード(経費決済専用カード)

経費の会計処理は、個人事業主にとって非常に面倒な作業です。これをできる限り手間をかけずに処理するには、事業用クレジットカードを1枚持ち、経費の支払いはすべてクレジットカードで行うのがおすすめです。経費の一元管理が可能になることで会計処理が簡単になりますし、所得税などの支払いにも使用可能。さらに、経費の決済でポイントが貯まる、カードに付帯するビジネスに役立つサービスが利用できるといったメリットがあります。
クレジットカードにもさまざまなものがありますが、中でもおすすめしたいのが、ダイナースクラブのクレジットカードです。社会的信用というステータスの高さを備えたダイナースクラブから、個人事業主や法人経営者にぴったりのビジネスカードを2種類、紹介しましょう。
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴
ダイナースクラブ ビジネスカードの特徴は次のとおりです。

・企業役員や医師、弁護士など、社会的信用の高い人々に利用されてきた実績がある
創業当時から今に至るまでの、クラブの信頼とステータスを高めるための積み上げがあるからこそ、ステータスカードとして広く認知されています。
・ダイナースクラブ ビジネスカードならではのサービスが利用できる
たとえば、会計ソフトとの連携、税務相談や法律相談などの優待サービスがあるほか、事業承継やM&Aなどのビジネスコンサルティングサービスなどもあります。ゴルファー保険をはじめとするゴルフ優待サービスや加盟店優待、JALオンラインのインターネット予約サービスなどもご利用いただけますので、さまざまなビジネスシーンにご活用ください。
・ポイントの有効期限なしで、ワンランク上の賞品と交換できる
・利用可能枠に一律の制限なし
・登記事項証明書の提出が不要、個人の信用で申し込みできる
・充実のビジネス特典がある
・従業員を含めた経費の一元管理が可能
■ダイナースクラブ ビジネスカードの主な特徴
年会費 | 27,500円(税込) |
---|---|
ポイント付与率 | 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
旅行傷害保険 | 最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
追加会員 | 年会費無料(追加カード発行は4枚まで)
※カード維持手数料:3,4枚目のみ1枚あたり年間5,500円(税込) |
ETCカード | ・基本会員は5枚まで発行可能
・追加会員は1会員につき1枚まで発行可能 |
ポイント有効期限 | なし |
ショッピング保険 | 購入日より90日間、年間500万円まで |
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカード(経費決済専用カード)の特徴
ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、ダイナースクラブカードや各種提携カードの所有者が、追加でお申し込みができる経費決済専用カードです。法人格を持たない個人事業主も作ることができ、ダイナースクラブカードをプライベート用、ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードを事業用と使い分けることで、経費処理の手間を大幅に軽減できます。

ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードには、主に次のような特徴があります。
・プライベート用と事業用に分けて支払口座の設定が可能
・年間手数料は経費に計上可能。ポイントは2枚のカードを合算して使える
なお、クレジットカードの利用で貯まったポイントは本会員カードのポイントと合算して利用できます。
・ダイナースクラブカードならではのサービスを利用できる
■ダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードの主な特徴
年会費 | 5,500円(税込) |
---|---|
ポイント付与率 | 100円につき1ポイント
※税金の納付や一部加盟店の利用は、200円につき1ポイント |
旅行傷害保険 | 最高補償額1億円(海外・国内) |
国際ブランド | ダイナースクラブ(Diners Club) |
ETCカード | カード会員本人が所有する車両台数(車載器台数)に応じ5枚まで |
ポイント有効期限 | なし |
ショッピング保険 | 購入日より90日間、年間500万円まで |
支払タイプ | 一回払いのみ |
確定申告時の所得税納付には事業用クレジットカードを活用しよう
確定申告を行い、確定した所得税を納める際、クレジットカードを利用できます。ポイントが貯まったり、時間や場所を選ばずに納付できたりするので便利ですが、決済手数料がかかるなどの注意点もありますので確認しておきましょう。なお、事業用の経費決済で使用するクレジットカードは、プライベート用と事業用で分けておくのが便利です。
事業用として分けておくことで、経費管理の手間を減らすことにつながりますので、個人事業主・法人に関わらず、事業用のクレジットカードは1枚手元に持っておくのがおすすめです。クレジットカードの中でも、ダイナースクラブ ビジネスカードとダイナースクラブ ビジネス・アカウントカードは、ビジネスに役立つサービスが充実しているだけではなく、ビジネスでの信頼構築に役立つステータスカードですので、非常におすすめです。
ダイナースクラブは、1950年に米国・ニューヨークのレストランで生まれ、日本で最初の多目的クレジットカードを発行した国際ブランド。安心して使えること、さまざまなサービスが支持されていることなどは、60年以上の歴史が証明しています。ビジネスに寄り添うダイナースクラブカードをぜひお手元に。
※本記事は、2023年8月現在の情報です。