だししょうとうトが「アラづくし」のお料理だ。再び大河内さんに聞く。「冬の時季の当館最大の売りです。それをフルコースでお召し上がりいただきます。お造り、煮付け、鱗せんべい、内臓は珍味にします。メインはちり鍋です。最後の締めはその出汁で生米から炊いた雑炊になります」 聞くだけで垂涎ものだが、お料理を引き立てる器もこの宿の〝華〞。唐津焼の名人・中里隆さんの作品を中心とした『隆太窯』の器で供されるのだ。目で楽しみ、持っても楽しめる、無骨な唐津の魅力を深く知ることになるだろう。 この宿に一歩足を踏み入れると静寂に包まれる。あえてBGMを廃した空間に聞こえてくるのは、風の音、虫の声、鳥の声。そして、夜は潮騒と松濤のみ。37ダイナースクラブ特別ツアーの愉しみ②“肥前の炭鉱王”として知られた実業家・高取伊好の邸宅『旧高取邸』。 唐津城本丸の西南の海岸沿いの約2300坪の広大な敷地に、 明治38年(1905年)築の大広間棟と大正7年(1918年)築の居室棟が立つ。 贅を凝らした邸内の中でも、 大広間に組まれた国内唯一の現存例ともいわれる能舞台は必見。 また、天井の中央部を一段高くした「折り上げ天井」の仏間、 動植物を配した透かし彫りの欄間や、 藤、 山桜、 垂れ桜、菊、松、紅葉などが色鮮やかに描かれた杉戸絵ほか、 随所に和洋の意匠の粋を見ることができる。 1998年、国の重要文化財に指定。洋々閣 佐賀県唐津市東唐津2-4-40電話 0955-72-7181http://www.yoyokaku.com旧高取邸佐賀県唐津市北城内5-40開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)定休日:月曜(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)電話 0955-75-0289これよし上:11月のツアーでは“アラづくし”が楽しめる(※冬が旬の高級魚クエを九州ではアラと呼ぶのが一般的。写真はイメージ)。唐津焼の名人として知られる中里隆さんの『隆太窯』のお皿で料理を楽しめるのも、洋々閣の醍醐味。左:虹の松原を模した日本庭園も必見。column
元のページ ../index.html#35