SIGNATURE2016年12月号
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Commonaltyfoods 三つ子の胃袋百までも、パナマに続いて「バハマ文書」が世間をにぎわしているこの国は、約700の島々からなるサンゴ礁の群島。英連邦王国に属する有名なタックスヘイブン国でもあり、美しいラグーンの楽園でもある。そんなバハマの高級リゾートのパンフレットを眺めると、大きなロブスターや法螺貝の刺身などといった新鮮な海の幸の写真が並んでおり、つい垂涎の思いで眺めてしまう。だが、ロブスターに関しては、消費されるのは高級ホテルだけで、一般の家庭に出されることはない。子どもたちも、魚介類を食べながら大きくなっていくのではなく、主なたんぱく源は鶏肉。小さな魚が食卓に出ることがあるものの、バハマの幼児食はかなりアメリカナイズしている。たとえば、グリッツ。とうもろこしの粗挽き粉(「ポレンタ」とほぼ同様)で作ったおかゆだが、これはアメリカ南部の名物だ。2歳半のレイラちゃんのある日のランチは、このグリッツのおかゆに、ソーセージのトマト煮とアボカドのサラダを添えたものだった。グリッツをさらに細かく挽くと、コーンミールになる。コーンミールで作ったおかゆは、赤ちゃんの定番の離乳食だ。ディナーとして出されたマカロニ&チーズも、アメリカ南部発祥だ。ゆでたマカロニにたっぷりのチェダーチーズをかけてオーブンで焼いたマカロニは、子ども受けがいい。添えられていたハニーBBQチキンも、アメリカ中南部のレシピ。首都・ナッソーには、アメリカのファストフード店も数多く、日曜以外は、そこで手軽にディナーを済ませてしまう家庭も少なくない。このように、イギリスの植民地だったこの国は、街並みや建築には英国の面影があるものの、食事はアメリカ南部の影響が濃いようだ。46文・にむらじゅんこ3241weh Bab カリブ海のコモンウェルス幼児食
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