SIGNATURE2016年12月号
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ての魅力も非常に高く、フランスきってのラグジュアリーな美食のホテルとして高い評価を得ている。フランスにおけるガストロノミー文化とは、料理やお菓子と同じレべルでワインも大切、と考えるゲラール。自らボルドー大学でワイン醸造講座を受講し、1983年には、ホテルから数キロ離れたところにぶどう畑とワイン醸造所を手に入れ、自分の料理に合うワイン造りにも乗り出した。る『シャトー・バシャン』で造られる白、ロゼ、赤のワインは、いずれも古くから地元で育てられてきたぶどう品種からなる。ボルドーの名シャトー『シャトー・ペトリュス』を管理する醸造家の指導を仰いで品質向上に力を入れ、そのワインはゲラールのレストランはもちろん、パリや世界の星付きレストランのワインリストに。日本でも、『シェ・イノ』や『レストラン・パッション』などで味わえ、昨年は、在日フランス大使館で開催された大規模な晩餐会でもこのシャトーのワインが供された。敷地の周囲は鬱蒼とした木立や森になっていて、外からの影響を自然に遮断し、この畑だけのミクロクリマを作り出す。畑の一部は馬で耕し、なるべく人間や機械の関与を避け、ぶどうが自然体で育つよう配慮。そうして成熟したぶどうを、ストレスをかけないようにていねいに醸造した『シャトー・バシャン』のワインからは、この土地のテロワールがたっぷり香ってくる。ガストロノミーは、ワインの存在なくして完成しない。ミシェル・ゲラールの食への情熱は彼をワイン造りにも導いた。Special FeatureSud Ouest de la FranceUn village aimé par un grand cuisinier右:ウジェニー・レ・バンの村から車で20分ほどの所にある、ゲラール夫妻のワイナリー『シャトー・バシャン』。13世紀からワイン造りが行われていた。左:シャトーで造られるワインたち。左:畑ではこの地ゆかりの白ぶどう4種、黒ぶどう3種を育てる。右:『シャトー・バシャン』の醸造責任者、オリヴィエ・デュポン氏。「ぶどうを伸び伸び育て自由に表現させるのが、ゲラール氏の哲学」と語る。 20ヘクタールほどのぶどう畑を要す37
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