SIGNATURE2016年08_09月号
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「私はここシアトルで、50年間シアトル流江戸前寿司をサーブしております。この映画では、築地市場の生き生きとした活気と仲買人たちの魚に対する執念、そしてその魚をサーブされている方々の自信に満ちた仕事ぶりを拝見することができ、とても刺激をうけました。市場にたたずむネコも可愛いかったです(笑)。今や世界にその名が知れ渡り、日本の朝を毎日スタートさせてきた築地の名が消えるのはさみしい限りですが、この映画で永久に心に留めておくことができて、どこか安心することができました。素晴らしい映画をありがとうございました」   「この映画は『築地』という市場をテーマにした映画ですが、市場というものは自然と存在するものではなく、そこにいる人たちが日々創っているものだと思います。日本人の精神性や、ものづくりに対する思い、そういったものを表現したくてこの映画を作りました。僕ら日本人には、築地や、魚食文化があり、他の国にもそれぞれの文化があって、優劣なくすべてが素晴らしいのですが、その国にいると一時その素晴らしさが見えなくなることがあります。それで、できるだけ客観的に撮影を行い、ナレーションを極力使わずにこの映画を製作しました」加柴司郎遠藤尚太郎69えんどう なおたろう|築地市場内を1年にわたり長期取材した『TSUKIJI WONDERLAND』を初監督。本企画では、製作資金をクラウドファンディングで募ったことも大きな話題を呼んでいる。かしば しろう|『すきやばし次郎』で6年半の修業の後、1966年シアトルに移住。以来50年、伝統的な江戸前寿司を出し、現在、全米にその名を知られる存在の鮨職人。『Sushi Kashiba』店主。 All pictures ©2016 松竹日本の食文化を応援します。右から:ワールドプレミアは、シアトルの『SIFFシネマ・アップタウン』などで行われた。/シアトルで50年にわたり江戸前寿司を握る加柴司郎氏。/熱気あふれる会場。/プレミア上映には、ハーバード大学教授で『築地』の著者、テオドル・ベスター氏もかけつけた。/スピーチをする遠藤監督。タイトルは『TSUKIJI WONDERLAND』。80年もの長きにわたり日本の食文化を支え続け、2016年11月に移転する「築地市場」の舞台裏をとらえた出色のドキュメンタリー映画は、2016年5月、北米最大の動員数を誇るシアトル国際映画祭に、日本の台所である「築地」をテーマとした一本の映画がかけられた。満員の観客からスタンディングオベーションの称賛を浴びたのであった。映画『TSUKIJI WONDERLAND(築地ワンダーランド)』10月1日(土)築地〈東劇〉先行公開、10月15日(土)全国ロードショー!ダイナースクラブ協賛TIIKJUSI

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