SIGNATURE2016年08_09月号
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白のベッドに滑り込んだ。夜明け前、ティティカカ湖を一望するバルコニーに立つと、凛とした朝の冷気の中で水平線が黄金色の帯状に輝きだす。太陽の熱で温められた湖面から水蒸気がたちまち上り、まるで雲海の上にいるような神秘的な絶景に、時間を忘れるほど見とれていた。そんな光景を前にしていると、黄金帝国インカの始祖が降臨したという伝説も、にわかに信じたくなる。 『ティティラカ』ホテルは、プーノから車で50分ほど南西に走った半島の先端に立つ。周囲にはほかに何もない、ティティカカ湖にそっと寄り添うオールインクルーシブタイプのシンプルなブティックホテル。ずば抜けたロケーションと洗練された空間で、しばし世間を忘れてゆったりと贅沢に過ごすにはもってこいだ。インカの歴史と現代の快適さ、そして優美な自然環境がみごとに一体化している。随所にペルーの伝統をちりばめた全独特の刺繍が施された織物をはじめ、ハンドメイドのアメニティ。大きなピクチャーウィンドウに広がる紺碧の湖が安らぎを与えてくれる。日中は、ゲストのためだけに用意された土地の文化や風土を体験する数々のエクスカーションを楽しむ。イブニングカクテルでのシャンパンとライト霧の湖をお見逃しなく」。就寝前にコンシェルジュが一言添えた。期待を胸に抱き、純ミールとともに火を囲む時間も格別だ。群生するトトラが茜色に包み込まれる頃、漁師が家路へと舟を漕ぎ始めた。インカの神が創造した太陽は、湖を染めることによって漁師に一日の終わりを告げたようだった。ディナーに並ぶのはアンデス原産のスーパーフードで知られるキヌアなど、ローカル材料を中心としたペルービアン料理だ。オールインクルーシブスタイルながらも、アラカルトメニューから好みの料理を選べるのがうれしい。ふと窓の外に目をやると、太陽が昇ってきた位置から、今度は大きな月が雲の帯をオレンジ色に染めながら昇ってきた。月光が湖面に映り、細く長い光の道がホテルまで続いている。そしてまた日は昇り、太陽はティティカカ湖を黄金色に輝かせる。古より繰り返されるこの神秘の光景を、ここではまるでゲストのためだけに見せているような錯覚さえ覚える。『ティティラカ』ホテルは、そんなスペシャルな時間を約束してくれる。地球の片隅に佇む楽園TITILAKA住所:Comunidad Huencaya Distrito Plateria S/N, 21066 Tililaca, Peru電話:+51 1 700 5106http://titilaka.comルレ・エ・シャトー日本予約センター電話0800-888-3326 www.relaischateaux.jp朝な夕なにその表情を変えてゆくティティカカ湖。神秘とロマンを秘めた雄大な自然を、客室からでもラウンジからでも心ゆくまで満喫できる。スタッフの多くはケチュアやアイマラ族の人たち。彼らの民族衣装がホテルのよいアクセントとなっている。個性と洗練された魅力を持ち合わせたホテル。『ルレ・エ・シャトー』のメンバー。  朝 18室のスイートルームには、この土地TITICACA■e Golden Lake Floating in the Sky60

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