SIGNATURE2016年08_09月号
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戸の街と大阪平野を見下ろす六甲山の山頂付近、標高800メートルの優雅な避暑地にひっそりと佇む『神戸ゴルフ倶楽部』。日本のゴルフの歴史はここからスタートした。1901年の秋にイギリス人貿易商アーサー・ヘスケス・グルーム主導の手造りによる4ホールが完成し、9ホールへと増設された1903年5月24日に開場を迎える。翌年18ホールとなるが、あるがままの地形を活かしたコースは100年以上の歴史を重ねた今も、当時の「あるがまま」を貫いており、パー61というユニークな形態を維持している。バックティー4049ヤード、レギュラーティー3851ヤード、18ホール中11ホールがパー3、残り7ホールがパー4という異色のスタイルだが、パー3といえども打ち上げ、打ち下ろし、谷越え、そしてブラインドホール(名物の11番)まであり、多彩な表情を見せる。またフェアウェイよりも圧倒的にラフ(時にはブッシュのよう)が多く、グリーン周りには険しい砲台や深いラフが待ち受け、キャリーによる正確なショットと、打ち上げホールではヤーデージ以上の十分な飛距離が必要となる。挽回の余地が少なく、プロの試合において一つのミスがスコアに影響するパー3。ラウンドをしていると「短い」印象はけっしてなく、実際に200ヤード前後の「長い」ホールも多い。パー4においても同様で、打ち上げ、打ち下ろしに対応した繊細な距離感が要求され、攻め所、守り所、落とし所、冷静なマネジメントが必須。名物ホールの一つ7番ホール(レギュラーティー260ヤード)は、谷越え、ブラインド、ブッシュ、2打目の打ち下ろしと、ヤード数を超えたギミックが満載となっている。44Photographs & Text by Jun Nemoto上:11番、丘の頂に立つ目印のポールからグリーンを望む。右:専用のバッグと、歴史あるクラブハウス。開祖・グルーム曰く「言い残したことがある。諸君、『神戸ゴルフ倶楽部』に、これはいかん、あれはいかん、そういうべからず集はない。考えれば、わかるだろう。先輩会員を見れば、わかるだろう。わからなければ、聞けばよい。教えてもらって、笑えばよい。ここは、みんなが心おきなく楽しむ大人の遊び場だ」。これぞクラブライフの真髄。写真と文・根本 淳    神Kobe Golf Club日本のゴルフの歴史を語るゴルフクラブ時代の風潮に左右されることなく、あるがままを貫き伝統を育んできた『神戸ゴルフ倶楽部』。日本のゴルフの夜明けの場であり、優に100年を超える歴史を積み重ねながらも、その悠久なる佇まいの中には、クラブライフの真髄が宿り続けている。神戸ゴルフ倶楽部

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