SIGNATURE2016年08_09月号
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がみつくも18ColumnSignatureText by Mari HashimotoExhibition InformationExhibition Information重要文化財 伝土佐光信《百鬼夜行絵巻》(部分)室町時代(16世紀)京都・真珠庵蔵 ※東京会場後期(8月2日〜28日)、 大阪会場後期(10月12日〜11月6日)展示会期:2016年7月22日(金)〜9月25日(日)開館時間:10:00〜20:00(最終入場19:30)会期中無休会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)※大阪会場:2016年12月1日(木)〜2017年1月29日(日)グランフロント大阪北館 ナレッジキャピタル イベントラボに巡回公式サイト http://manga-9art.com/お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)月岡芳年《百器夜行》大判錦絵二枚続慶應元年(1865年) 国際日本文化研究センター蔵 ※東京会場前期(7月5日〜31日)、 大阪会場前期(9月10日〜10月10日)展示美術館の壁にタブローを掛けるだけでなく、もっともマンガらしい形、ストーリーマンガそのものが作品となって登場。『ピンポン』や『鉄コン筋クリート』などで知られる松本大洋は、6月から『ビッグコミックオリジナル』(小学館)で、《ルーヴルの猫》の連載を開始した。大徳寺真珠庵に伝来し、一言のストーリーも記されない《百鬼夜行絵巻》には、見る側が自由に物語を創作したくなる、ユニークな妖怪たちが跋扈している。商品経済の発展に伴って出現し、中世を駆け抜けた「モノ」に憑く付喪神たちを描く愉しさに絵師の筆は躍っているかのよう。会期:2016年7月5日(火)〜8月28日(日)開館時間:9:30〜17:30(7月9日・16日・23日の土曜は19:30まで、7月29日の金曜から、金・土曜は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜 ※ただし、7月18日、8月8日・15日は開館、7月19日は休館会場:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室(東京都墨田区横網1-4-1)※大阪会場:9月10日(土)〜11月6日(日)あべのハルカス美術館に巡回公式サイト http://yo-kai2016.com/お問い合わせ 03-3626-9974(江戸東京博物館)松本大洋《ルーヴルの猫》©MATSUMOTO Taiyou / Shogakukan / Futuropolis / Musée du Louvre éditions日本美術の冒険 第26回文・橋本麻里 マンガを芸術の一部として遇すること、その意味を探ることは、これまでさまざまな美術館で試みられてきた。そこに新たに乗り出してきたのが、バンド・デシネの伝統を持つフランス随一の芸術の殿堂、ルーヴル美術館である。 展覧会タイトルの「ルーヴルNo.9 〜漫画、9番目の芸術〜」とは、建築、彫刻、絵画、音楽、文学(詩)、演劇、映画、メディア芸術と、順に指を屈する(異説あり)フランスにおける芸術のヒエラルキーの階梯に、遠からずマンガが9番目の座を占めるであろう、という予言めいた謂い。マンガを高みへ引き上げてやろうというのではなく、その活力を自らの内へ取り込もうという、ルーヴルならではの貪欲な挑戦だ。 フランスからはエンキ・ビラルをはじめとするバンド・デシネの名手たち、そして日本からは荒木飛呂彦、谷口ジロー、松本大洋、寺田克也、ヤマザキマリら総勢16名が参加、「ルーヴル美ルーヴル美術館特別展ルーヴルNo.9〜漫画、9番目の芸術〜術館をテーマに自由に作品を描く」という課題に、日仏の作家たちがどのような答えを出したのか、非常に興味深い。 同様に、子供から大人までの好奇心を刺激してやまないのが、「大妖怪展土偶から妖怪ウォッチまで」だ。遙か古代から、日本人が「人ならざるもの」へ向けてきた好奇心や恐怖は、魅力的な造形を生み出す源泉ともなってきた。ヒトを象りながら決して人間とは呼べない縄文時代の土偶を端緒に、仏教伝来以降にはっきりと観念されるようになった地獄、そこにうごめく亡者や鬼、怪物を表した、おぞましくも美しい絵画作品、そして中世から近世にかけて、一般の人々の間にも浸透していった妖怪や幽霊の姿を追い、現代のゲームにまで至る、「裏面の日本文化史」と呼びたい構成となった。はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる【京都国立博物館】』(集英社クリエイティブ)。 土偶から妖怪ウォッチまでひゃっきやぎょうえまきArt2大妖怪展日本が誇る輸出コンテンツ、マンガと江戸の妖怪

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