SIGNATURE2016年08_09月号
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チャンピオンのピッツァ梅雨がそろそろ明けると、オープンエアのテラス席が気持ちいい季節がやってくる。そんな店が何軒か並ぶ恵比寿の裏路地の一角に目当ての店『ES たちがわいわいがやがやと語り合う、これぞイタリアン、という空間だ。この店に行く大きな理由は、ピッツァ。それも、2016年度のローマでのナポリピッツアの大会「イタリアカップ」で総合優勝した小曽根美佐夫シェフが焼くピッツァを食べるためだ。審査員やライバルたち全員がイタリア人だったという中に交じって、アジア人初として総合優勝した小曽根シェフ、とてもフレンドリーで陽気だ。「適当がいいんですよ。チーズもちClassico』がある。陽気な人ぎって適当に、バジリコも適当に。それがイタリアン」。なるほど、確かに見た目はそうだけど(笑)、でもやっぱり中身は計算されていて美味しい。1階のテラス席の奥には大きな薪窯がある。その前の大理石のテーブルで、さっと生地をこねてチーズやバジルやオリーブを載せた後、さっと窯に入れる。生地がだ、れ、る、前に焼くのが鉄則だそうだ。時間にして約45秒。といっても厳密でなく、炉の温度を管理しながら具の調理を行う。火の長さや温度を感じながら長年の勘で焦げ目をつけたり、具を焼いたりと見極めはまさに職人芸だ。出来立てのピッツァは甘い。それは生地もそうだが、チーズとトマトの溶け具合がそうさせているのだろう。マルゲリータはチーズとトマトとバジリコでイタリアの国旗を表している定番。ほのかな薪の香りと生地の焦げた香りが食欲をそそる。手づかみで豪快に食べたいものだ。て変わる。メニューはあってないようなものだ。本日の素材からチョイスし、調理方法を決める。この日は白金豚、鴨、オマール海老、和牛とある中から、白金豚のTボーンをグリルしてもらった。あれこれ話しながらメニューを決めていくのは楽しいスタイルだ。ピッツァがもちろん素晴らしいけれど、パスタやメインも美味しいのは言うまでもない。    夏空の下のテラス席でぜひ。メインディッシュはその日によっ小曽根シェフ流のイタリアンを、14住所:東京都渋谷区恵比寿1-24-11 GRASSE1・2F電話:03-6277-1612営業時間:ランチ11:30〜15:00(水〜金曜)、12:00〜15:30(土・日曜・祝日)、ディナー18:00〜23:30定休日:月曜、火曜日ランチタイムES Classicoイタリア国旗カラーの定番マルゲリータ(大1,730円、小1,430円)。メイン料理は、その日お薦めの素材の中からお好みの調理方法で。白金豚のTボーングリル(3,900円)。自家製ピクルス(480円)をつまみながら、ビールやワインと共にどうぞ。*価格はすべて税抜です。シェフNumberPhotographs by Tadahiko Nagata Text by Tomoyasu ShitayaMisao Ozone今月の一皿小曽根美佐夫112

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