SIGNATURE2016年04月号
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国を代表する舞踊家ヤン・リーピンが、自ら雲南省の少数民族の村を巡って伝統歌舞を収集、舞台化した『シャングリラ』。中国に造詣が深く、大のリーピン・ファンでもある谷原章介さんが、今回の来日公演に込めた彼女の思いを聞いた。谷原:ヤンさんはいつも素敵な民族衣裳で登場されますが、今日のドラゴンのドレスもすばらしいですね。ヤン:ありがとう。これは、アンティークの京劇の衣裳を部分的に切り取って作ったものなんです。帽子もそう。龍は漢民族のアイコンなんです谷原:『シャングリラ』は、ヤンさんのご出身でもある雲南省の少数民族の歌や踊りですね。僕は初来日公演の時から観ていて大好きなんですが、ヤンさんご自身が踊るのは、今回の日本公演が最後になると聞きました。ヤン:私はなるべく若い人たちにチャンスを与えたいと思っているんです。それに、自分が踊っていると、振り付けや演出に時間が割けなくなってしまいます。近年は作品づくりに重点を置いていることもあり、これまで育ててきた若い人たちに舞台を譲ろうと決めたのです。今回も、私は出演するつもりはなかったんですが、日本の観客の皆さんが「どうしても」と言ってくださっていると聞いて、出ることにしました。谷原:僕らとしては、ヤンさんが踊る『シャングリラ』を観られなくなるのは、とても悲しいのですが……。ヤン:最初に『シャングリラ』で来日してから、8年あまりが経とうとしています。その間に他の作品も含めて何度も日本で公演が実現し、多くの中国の民族文化を紹介することができたことを、とてもうれしく思いますし、深く感謝しています。今では、日本の皆さんとは、ただの観客を超え、一人ひとりと深い友情で結ばれている気がしています。私たちは言葉ではなくダンスで気持ちを伝えるわけですが、それがとてもうまく伝わり、舞台と客席の間でさまざまな感情の交流が行われている実感があります。私たちは、こうして二つの国の友情を育てているんですよね。谷原:そうですね。特に忘れられないのは、11年の東日本大震災の後、多くのアーティストが来日を中止するなかで、ヤンさんが4月の公演に迷うことなくやって来てくださったことです。ヤン:当然のことですよ。谷原:いや、ほんとうにあの時は感動しました。最後に、これから『シャングリラ』を観にいらっしゃる方に、メッセージをいただけますか。ヤン:「シャングリラ」は「美しい場所」を意味する言葉です。私たちはこの作品の中で、人間が本来持つ美しい気持ちを踊りで表現しようとしています。自然や生命や、日々の生活に対する憧れや畏敬の念を、昔から行われてきた振りや歌によって表すのです。誰もが内面に抱える気持ちですから、理解しやすいですよ。同時に、雲南省の少数民族のユニークな文化を紹介しているものでもあるので、きっと楽しんでいただけると思います。 谷原:僕も心から楽しみにしています。また4月にお会いしましょう。65Ticket InformationPro■le※やむを得ない事情により出演者が変更になる場合がありますので、 あらかじめご了承ください。※出演者変更にともなうチケットの払い戻し、 公演日・券種の変更はお受けできません。※未就学児童のご入場不可。※お手元にダイナースクラブカードをご用意のうえ、お電話ください。芸術監督・構成・主演:ヤン・リーピン出演:ヤン・リーピン歌舞団会期:2016年4月9日(土)17:00開演 会場:渋谷・Bunkamura オーチャードホール料金:S席特別価格11,000円公演詳細:https://dnticket.jp ⇒販売中⇒2016年3月10日更新4月10日(日)、12日(火)、13日(水)、15日(金)、17(日)13:00開演4月14日(木)13:00/19:00開演4月16日(土)12:00/17:00開演楊麗萍(ヤン・リーピン)|中国では知らない人はいないと評される国宝級ダンサー。雲南省大理のペー族出身。1971年、西双版納(シーサンパンナ)歌舞団に入団。86年、彼女の制作・主演で行われた一人舞台『孔雀の精霊』の成功により一躍有名となる。太陽や月のエネルギー、風や雨など厳しい自然、人間も含む生き物の営みといった大自然の生態を、エモーショナルかつ繊細な舞いで表現してきた。お申し込み・お問い合わせ:カンフェティ チケットサービスフリーダイヤル0120-243-543 (月〜金曜 10:00〜18:00 土・日曜・祝日休)がとな、中る国意アイは匠コンどをの持民っ族てもいこるうんしでたす象よ。徴踊る精霊 最後の舞ヤン・リーピンのシャングリラ中

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